2005年3月25日金曜日

ロシアンブラス - シモノフ&モスクワフィルのチャイコ5番、白鳥の湖

 今夜は月とお星さまがとても綺麗です。当日券でモスクワフィルを聴いてきました。これから日本-イラン戦を見に帰るので、感想は後でまた書きます。

 学会を挟み、かなり遅れての感想upとなります。ロシアのオケと云うと、往年のメロディアのミョーにバランスの悪い録音で聴いた、「このヒトたち、絶対おかしい」とすら思わせるバリバリにビブラートのかかったブラス群の殺人的な響きがまず思い浮かびます。ところが残念なことに、一再ならずロシア系のオケを聴いてはいますが、そのイメージ通りのブラスに実演でお目にかかったことはありません。ムラヴィンスキー&レニングラードとスヴェトラーノフ&ソヴィエト国立響の両強力コンビの実演に接していないのが痛いところです。実はモスクワフィルを聴くのは初めてで、ディスクの印象から「今度こそあの爆裂ブラスを」と意気込んで当日券3000円を買い求めました。

3月25日(金) 東京オペラシティ
 ユーリ・シモノフ指揮モスクワフィル チャイコフスキーSym5番、白鳥の湖
シモノフの指揮ぶりは非常に滑らかで流麗なもので、出てくる響きもそれに準ずる印象です。つまり、整ってはいるけれどビックリするようなところも少ない感じです。チャイコフスキーはそれ程聴く作曲家ではないので、自分の中に基準となる解釈や響きは無いのですが、標準的な解釈だったように思います。初めて聴くモスクワフィルは、弦と木管に関しては来日オケの標準レベルという印象です。ただ弦セクションは、後ろのプルトまで懸命に弾いていた昨秋のゲルギー&VPOとは対照的に、良く言えば余裕のある、悪く言えばビジネスライクに演奏をする、というスタイルでしたので、本当は底力があるのかもしれません。期待の金管はそれに比べるとさすがに力強いけれど、期待した程ではないかな、という感じで、5番の時は物足りませんでしたが、白鳥の湖では曲想のせいか、かなり迫力のある響きではありました。また後半の白鳥の湖は、何度も盛り上がりのある濃密な4,50分の挙句のコーダで、スヴェトラばりの延々と続くフォルテシモクレッシェンドがくる、という濃ーいものでした。
 アンコールもチャイコが1曲とドヴォルザークのスラブ舞曲から2曲の計3曲。特にドヴォルザークでは、弦も凄いんですよー、と言わんばかりの演出と、「ロシア訛り」を感じさせる一風変わった表現が聴けました。全体としては、演奏会としての満足度90%、ロシアンブラスへの期待に対する満足度は60%、って感じです。

 唖然としてしまうようなロシアンブラスを聴けるのは、いつの日か…。

2005年3月21日月曜日

大植&大フィルの6番

 本日は珍しく地元でのコンサート、大植英次&大フィルの引越し公演によるマーラーの6番です。コンサート終了後、その足でこの春3度目のテニス合宿に出掛けるので、感想を書くのは明日以降になります。例によって記事だけ作成しておきます。

 大植のマーラーはミネソタ管との来日公演で5番を聴きました。その時は「マーラー指揮者ではないな」との印象でしたが、指揮スタイルにはある種のカリスマを感じました。アンコールで演奏されたキャンディード序曲が一番印象に残っています。そのコンビの次回来日でマーラーの6番が予定されていたのですが、9.11テロにより痛恨の来日中止、個人的には今日の演奏がそのリベンジとなります。

 合宿から戻りましたが、浅田舞ショックで更新するのをすっかり忘れてました。

3月21日(月) つくばノバホール
 大植英次指揮大フィル マーラーSym6番
ミネソタ管との5番は解釈がスマート過ぎて物足りなく感じましたが、今回の6番は、アゴーギク、つまり細かなテンポの揺らしや、浪花節的な粘りなどを要所に効かせた、かなり熱い演奏になっており、ずっと楽しめました。特に終楽章の劇的な表現が印象に残っています。この6年で彼のマーラー解釈が変わったのでしょうか。それともオケの特性に合わせて変えているのでしょうか。ただ、大フィルは評判通り(?)機能性にやや難があり、その点はミネソタ管との演奏とは比ぶるベくもありませんので、トータルでは一長一短といったところです。

 大フィルには申し訳ありませんが、大植英次を極東の一地方オケのシェフに留めておくのは勿体無い気がします。

2005年3月18日金曜日

閑古鳥 - ギルバート&東京のオペラの森管のアルプスSym

 東京のオペラの森管を聴いて来ました。お客さんは何と1,2割の入り、プロのオケでこんな経験は初めてです。不入りにもかかわらず、なかなかの演奏でした。

3月18日(金) 東京文化会館
 アラン・ギルバート指揮東京のオペラの森管弦楽団 アルプスSymなど
東京のオペラの森管(この長ったらしい名前やめて欲しい…)は、(たぶん)小澤の呼びかけで集まった特別編成のオケで、サイトウキネンオケを思わせます。音もまさにそのサイトウキネンと同じ特質を感じました。つまり、弦がやたらと上手く、管はそれに比べると見劣りはするけれど、要所に名手を配して何とかバランスを保っているという印象。ただ、弦が魅力とは言ってもキャラの違いも少し感じました。サイトウキネンの弦はどこまでも優美に伸びる音という感じですが、このオケの弦はやや荒削りな部分はあるにせよ、とにかく凄い迫力です。こんなに弦が鳴るアルプスSymを聴いたのは初めてです。ギルバートの指揮はあまり個性を感じませんでしたが、メリハリの利いたもので、歌わせるところや盛り上がる部分なども過不足無くやっていました。弦が凄いオケなので、嵐の後、日没のシーンで大きなクライマックスが来るあたり、カラヤン&BPOのスタジオ録音盤を想い出しました。(ケンペ&ドレスデン盤の方が好きですが。)

 こんなに凄いオケの演奏会に聴衆が殆どいなかったのは不幸なことだと思います。主催者は直前の半額販売など工夫して欲しいものです、演奏者のためにも。

2005年3月17日木曜日

サーブのフォームはどこですか? - 鯨統一郎「新・世界の七不思議」

 今日は4時半に起きて昭和の森まで試合に行ってきました。この半年はちゃんと練習が出来ず、ただ試合に出てるだけ、という状態なので、当然の様に予選一回戦負け、試合中にサーブの打ち方を忘れるくらいの体たらくです。ただ、移動時間が長いので、本を1冊読めました。

新・世界の七不思議 鯨統一郎
 著者のデビュー作「邪馬台国はどこですか?」では、抱腹絶倒のかけ合いの下、奇抜な発想と切れ味鋭い論理(詭弁?)に驚嘆しましたが、これはその姉妹編、お馴染みのメンバーが世界の七不思議に挑みます。ストーンヘンジなど綺麗にまとまったものもありますが、全体としては前作に比べ論理の切れ味やオチの衝撃度は落ちる気がしました。話題が日本から世界に拡がったことで各話題に関するこちらの先入観や予備知識が少なくなったせいかもしれません。また、最後に前作には無かったご褒美が付いてます。

2005年3月15日火曜日

インバル&ベルリン響の5番

 今夜はインバル&ベルリン響のマーラー第2弾、5番です。ホルンのトップが上手だったので楽しみです。例によって記事だけ作り、帰ってから書き込みます。

 戻りました。期待のホルンは空振りで、9番と比べ一長一短はありましたが、よりインバルらしさは出た演奏でした。

3月15日(火) サントリーホール
 エリアフ・インバル指揮ベルリン響 マーラーSym5番ほか
インバル独特の少しアクのある音のバランスは先週と同様で、それに加え、9番の際にはそれほど細かく揺らした印象が無かったテンポを、今日の5番ではかなり細かく指示を出して動かしていました。指揮ぶりもずっと生き生きしていた気がします。そう云えば9番の時、楽章間は指揮台を降りて椅子に座って休んでいましたので、体調が悪かったのかもしれません。ただ、やりたい放題やっていたせいで、よりインバルらしさは出たものの、その分完成度は今一つでした。フランクフルト放響との演奏を覚えている人は演奏精度の点で物足りなさを感じると思います。9番でトップを吹いたホルンの若者に個人的に注目していたのですが、残念ながら5番では3rdあたりを吹いており、線の細い音の別の奏者がトップで、ソロもパート全体としても冴えませんでした。表現の幅と細やかさでは今日の5番、木管・ホルンの出来と弦セクションの響きでは9番の方がよかったと思います。オケの機能性には相変わらず不満が残るにせよ、最近少なくなってきたアクの強いマーラーが聴けて面白かったです。

2005年3月11日金曜日

チョン&東フィルの4番

 知人からチケットを譲り受け、急遽チョン・ミュンフン&東フィルのマーラー4番を聴きに行くことになりました。4番はマーラーの中では一番聴かない曲なので、半分はソリストの森麻季さんを見に行く感覚です。例によって帰りが遅くなるので、記事だけ作成しておきます。

 戻りました。森麻季さんは素敵でした。

3月11日(金)サントリーホール
 チョン・ミュンフン指揮東フィル マーラーSym4番など
チョン&東フィルのマーラーは1月の3番に続き2度目、内声を少し強めにした音作りで、特に第3楽章で美しい響きを聴かせてくれました。3番のときもそうでしたが、流れを重視し、それなりに劇的な起伏もあるのですが、マーラー特有の「毒」に欠ける気がします。各声部を明瞭にして、分析的かつ解析的に演奏するタイプのマーラーでは毒が無くなることは往々にしてありますが、ロマンティックなタイプの演奏で毒を感じないのは珍しい気がします。

2005年3月9日水曜日

理の通った「猟奇」 - 猟奇的な彼女

今晩のチャンピオンズリーグ決勝ラウンド第2節の地上波放送を控え、うっかり結果を目にしやしないかと、ドキドキ、ソワソワしています。なるべくWEBに接しない方が無難なので、今日も転載ネタでごまかします。

 年末年始に観た映画で一番面白かったのがこれ。

猟奇的な彼女 <'01 韓>
 軽い感じのラブコメ、と思って余り期待せずに見始めたのですが、前半のいくつかの伏線がラストで一気に収斂する絶妙のプロットには唸ってしまいました。

2005年3月8日火曜日

豪華二本立て - 梅田&仙台フィルのツァラ、外山&仙台フィルのアルプスSym

 今日は仙台フィルでツァラとアルプスの豪華二本立てです。今日も12時を過ぎると思いますので、取りあえず書き込んで、感想は後で書き足します。冒頭が「2001年宇宙の旅」に使われて有名になったツァラですが、ボブ・サップの入場テーマ曲でもあります。先日実家で見たPRIDE再放送でのサップの入場シーン、冒頭以外に中盤部分の音楽もちゃんと使われているのには少し驚きました。

 戻りました。なかなかの演奏会でした。

3月8日(火) すみだトリフォニー
 梅田俊明&外山雄三指揮仙台フィル ツァラ、アルプスSym
オープニングは10分に満たない委嘱作品。二人の作曲家による、二人の指揮者を要し、けれど大編成のオケを二つに分ける訳ではないという謎の作品でした。前半のツァラは梅田氏の指揮、アンサンブルが比較的整然とした、よくまとまった演奏で、要所ではかなりの迫力もありました。後半のアルプスSymは外山氏の指揮、梅田氏に比べると各セクションのバランスはやや大まかで、勢いに任せる感じの部分が多いのですが、その分オケの音も伸び伸びした感じで、より表現に起伏が出たような気がします。曲の性格の違いはあるかもしれませんが、完成度とまとまりでは梅田氏、音色と面白さでは外山氏、という印象でした。
 初めて聴いた仙台フィルは想像していたより上手で、金管が安定していました。特にTpは両曲ともほぼ完璧の出来です。弦セクションもボリュームこそありませんが、それなりにまとまっている感じです。

2005年3月7日月曜日

インバル&ベルリン響の9番

 これからインバル&ベルリン響でマーラーの9番を聴いてきます。戻りは12時を過ぎると思いますので、日付を合わせるため、一応記事だけ作っておきました。感想は戻ってから書き足します。

 戻りました。久し振りにマーラーらしいマーラーを聴いた気がします。

3月7日(月) サントリーホール
 エリアフ・インバル指揮ベルリン響 マーラーSym9番
前回の来日で「巨人」を聴いた時はオケの機能性にやや不満を感じましたが、今回は少し改善されたような気がしました。それよりむしろ、マーラー特有のやや唐突で不協和的な響きを強調するインバル独特の表現がオケに浸透したのが大きいのかもしれません。特に終楽章では、それほど上手いとはいえないオケから、うねるような分厚い弦の響きを引き出していたのには感動を覚えました。全体的にはテンポをそれほど揺らさず、それでいて最後にぐっとテンポを落としたのも効果的でした。ただ、かなり独特なボウイングを採用しており、そのせいで輪郭のはっきりした響きが得られていましたが、この辺は賛否の分かれるところかと思います。またホルンのトップがかなり上手だったので、来週の5番も期待できると思います。