2006年2月25日土曜日

萌え系フルーティスト? - yumiさんのフルート

 朝は久しぶりにマイナスまで冷え込むも、日中は10度を超えるそこそこのテニス日和。

 一日練習をした後、夕方HMV渋谷のインストアエベントに行きました。新進フルート奏者のyumiさん、どこかのHPで「萌え系フルーティスト」と紹介されていた方です。見かけは確かにアイドル系で小柄、ただ音は美しくてやや深みもあり、しっかりした実力を感じました。演奏してくれた曲も通俗曲の編曲ものではなく、エルガー(のマイナー曲?)、グルック、プーランクなど、フルートならではの良さが感じられるものでした。

 「萌え系」の正しい意味を知らないので何とも言えませんが、服装や話し方など、実際(芸大生)より何歳かは幼い雰囲気を醸し出してましたので、プロデュースする側はロリッぽいキャラを設定しているという気はします。

 帰途は久しぶりの高速バス。隣席だった女性の優しさと丁寧さにちょっと感動。

2006年2月20日月曜日

超ブラック作品集 - 東野圭吾「超・殺人事件」

 この時期、統計的には1月中旬と同じ寒さの筈ですが、ここ数日は高めの気温。やや天候が不順なせいで冷え込まないのもその要因の一つ。まあ12月が異例に寒かったので、そのお返しでしょうか。心なしか風に春の香りを感じます。

 移動中しか本を読まなくなったのはいつ頃からでしょうか。そのせいで田舎に住むと読書量が減ってしまいます。週末は千葉の合宿所と都心を2往復したので、本をそれなりに読めました。

超・殺人事件 東野圭吾
 推理作家周辺の日常をネタに、ややブラックに笑い飛ばした軽妙なパロディ連作短編集。トリッキーな唯一の本格物「超犯人当て小説殺人事件」と強烈な風刺の「超長編小説殺人事件」が印象に残りました。

 かなり冷え込んできました。相当降ってるので、雪になったら大変かも。

2006年2月19日日曜日

タコオケの8番 - 長田&オーケストラ・ダスビダーニャのショスタコーヴィチ8番

 週末を過ごした千葉は検見川にある合宿所では、駅への途中にあるインド料理屋さんにいたという美人の店員さんの話題で持ちきり。アマオケを聴くためテニスをお昼で切り上げて駅へ行く道すがら、その店に寄るのを楽しみにしてましたが、時間的余裕が無く断念、痛恨です。

 本日聴くオーケストラ・ダスビダーニャはショスタコーヴィチを演奏するために結成されたアマオケ。タコヲタならぬタコオケと言ったところでしょうか。毎年、レアな曲と熱い演奏を聴かせてくれるので楽しみです。しかも今年は8番、チョン・ミュンフン&東フィルのマーラー9番を切ってこちらを選んだくらいに期待して臨みます。奇しくも同じ芸劇でふた月連続してアマオケの8番を聴くことに(2006/1/22参照)。

2月19日(日) 東京芸術劇場
 長田雅人指揮オーケストラ・ダスビダーニャ ショスタコーヴィチ 劇音楽「ハムレット」から、PC2番、Sym8番
 例年通り、8番の前にこんなにやってもいいのか?というくらい重量級のプロ。最初の30分近くかかる組曲は予備知識無しに聴けばハムレットというより戦争の曲のよう。オケは最初から全開です。TpとFlのソロが見事でした。一方PC2番はショスタコーヴィチにしてはロマンティックで普通っぽい曲。拍手に応えソリストのミハイル・カンディンスキーはアンコールを一つ。ショスタコだったかどうか確認するのを失念しました。
 そして後半の8番、期待通り金管の凄絶な響きが聴けました。特に第1楽章と終楽章に訪れるカタストロフィのようなクライマックスでのTpとTbの吹きっぷりは恐怖感すら感じるほど。やはり8番はこれくらいやってくれなきゃと思います。静寂に包まれた終演時、開演から2時間半以上経っており、曲想との兼ね合いもあるのか今年はアンコール無し。

 アマオケによる8番対決、ピッチなど演奏精度では先月の新響がずっと上でしたが、個人的には金管の響きの凄絶さでダスビに軍配を上げます。と言うより、その点の凄みでは、ロストロ&ロンドン響の来日公演(これも芸劇)よりも上でした。

2006年2月18日土曜日

ホーネック&読響のショスタコーヴィチ9番

これからテニス合宿。更新は日曜夜になるので、取り敢えず表題のみにて。

 合宿から戻りました。この2日間のコンサートは充実してました。

 ショスタコイヤー5曲目は9番。過去ホーネックを聴いたのは一度、やはり読響とのマーラー3番で、その時の印象は弱音のニュアンスをマニアックに追求する指揮者、というもの。その点はヴァンスカやアバドと通じるものがあります。マーラーは非常に向いている気はしましたが、ショスタコーヴィチはどうでしょうか。

2月18日(土) サントリーホール
 マンフレート・ホーネック指揮読売日響 ショスタコーヴィチ Sym9番、チャイコフスキー Sym6番
9番をプロのオケで聴くのは初めて、ホーネックの弱音へのこだわりは相変わらずで、そのせいかフォルテの部分が壮大に聴こえ、小品という印象のこの曲がとてもスケール大きく響きました。ただ、解釈は思ったよりアクの少ないものに感じました。一方チャイコフスキーは弱音の精妙さに加え、第1楽章中間部や終楽章の盛り上がりなど相当な激しさで、かなりの名演だった気がします。まあ、チァイコは余り聴かないのでよく分かりませんが。
 また特筆すべきは指揮ぶりの流麗さ。前に聴いた時は遠目の後方からだったせいか気付かなかったのですが、今回Pブロックで見た指揮の滑らかさや棒の表情の豊かさたるや、その動きだけで音楽が聴こえてきそうな感じ。これまでに見た指揮者の中で、一番流麗な指揮をするといってもいいくらいです。(残念ながらクライバーを見たことがありませんので。)

 チャイコフスキーでは第3楽章後の拍手を封じるべく、アタッカで終楽章に入っていました。(が、それでもパラパラ。)

2006年2月16日木曜日

薬害エイズ支援コンサート

 今日は雨、気温も平年並みになったので、昨日の暖かさの余韻を残す午前零時からお昼までは下がる一方。いま国際フォーラムでの展示を終え、ヨドバシカメラ秋葉の無料インターネットスペース。

 友人に誘われて、これから「はばたきメモリアルコンサート」という薬害エイズのチャリティー関連の演奏会に行ってきます。内容は不明。帰りが遅くなりそうなので、とりあえずは記事だけ。

 戻りました。薬害エイズ被害者を支援するはばたき事業団というところが主催し、FMの解説でおなじみの作曲家池辺晋一郎が音楽監督を務める室内楽コンサートでした。

2月16日(木) カザルスホール
 神谷百子(マリンバ)、戸澤哲夫(Vn)、小野富士(Vla)、藤森亮一(Vc) 邦人委嘱作品など
 前半は神谷百子さんのマリンバで、邦人委嘱作品2つとバッハ。マリンバを生で聴くのは2,3度目ですが、いつも音の深みと迫力に圧倒されます。また4本のバチを駆使するさまは曲芸のよう。後半は弦楽三重奏(+ピアノ)で池辺晋一郎など邦人作品の書き下ろし(!)を2曲とモーツァルト。曲に関しては守備範囲外のためよく判りませんが、奏者は一流でした。最後にアンコールとして全員でエルガー「愛のあいさつ」。自分にはむずかしめの曲が多かったのですが、アットホームな雰囲気の楽しい一夜でした。

2006年2月1日水曜日

疾走する文体 - 舞城王太郎「煙か土か食い物」

 さっきはそこそこ揺れた、震度3くらい。昨日に続いての雨、雲のお陰で冷え込みもなし。この季節にしてはかなりの雨量だったのでこれが雪なら大雪になるところ。心身ともに正月ボケから抜けきらないのにもう2月が始まった。

 キワモノの多いメフィスト賞にあって珍しく傑物と噂の高い舞城王太郎を読み衝撃を受けた。口調がいつもと違うのはその影響。よく考えるとこれを読んでるのは全国で2、3人程度、無理してですます調で書くより心の声に近い調子で書く方がより日記として正確な記録になるというもの。

煙か土か食い物 舞城王太郎
 想像以上に凄かった何が凄いかって疾走する文体と苛烈な物語世界で目が回りプロットの瑕瑾すら気にならなくなってしまうくらい凄いもう完全にノックアウト。ただ賞を獲るための作品のせいか無理をして本格のギミックを組み入れてセルフつっこみを余儀なくされ本来の個性が少し殺されているのと、最初の文章のスピード感が最後まで維持されていないのがやや難点、だが後の作品では純度が高まっているのだろう。このチャッチャッチャッと書かれたような文章はかなりの推敲を経たものなのか一気に書き上げられたものなのか、いずれにしても怖い気がする。

 エルロイ「ホワイト・ジャズ」以来の衝撃の文体、まあこっちは翻訳なので正しく味わってる訳ではないが。

 故郷石川のお隣福井が舞台、笑ってしまう表現がありここに引用:

「東京が雪で福井が晴れ。こんな天気だってありうるのかと俺は意外に思う。いつも雨か雪が降っているような印象の福井なのに。」

これは珍しく短めの表現でこの後に続く以下の文が通常の調子。

「東京駅から新幹線で米原まで行く間ずっと空は曇っているが落ちてくる雪が雨に変わりその雨がいつしかやんで米原から特急に乗り換えて福井にはいると途端に曇り空が切れて晴れ上がってきてまるで魔法みたいだ。」