2006年6月30日金曜日

パパ・ヤルヴィ&日フィル、風通しのよいショスタコーヴィチ5番

 今夜の巨人vs.阪神が12chで放送とは隔世の感。今日はK1中量級決勝ラウンド、W杯も準々決勝2試合、ウィンブルドンもあって嬉しい悲鳴。そしてツールも開幕、アームストロング引退撤回、ってことは無いようで残念。こっちは放送ありませんけど(涙)。 その前にコンサートがあるので記事のみ作成。留守録集中です!

 ヤルヴィはエーテボリ響とのコンビでのみ、しかもシベリウスとマーラーしか聴いたことが無く、どれも素晴らしい演奏でしたが、ショスタコはとんとイメージ出来ません。どんな演奏なのか興味津々でしたが、驚いたことに何と非常にニュートラルなショスタコでした。

6月30日(金) サントリーホール
 ネーメ・ヤルヴィ指揮日フィル バーバー 弦楽のためのアダージョ、グリーグ 4つの交響的舞曲、ショスタコーヴィチ Sym5番
 オープニングに予定外のモーツァルトをちょっとだけ演奏、記念の年だから?その後のバーバーは、息子と違って普通のテンポ、節目だけを抑えつつ歌い回しはオケ任せで伸びやかに、そしてクライマックスの最強音のみ大見得を切って粘りに粘ったのが効果的でした。次のグリーグは、舞曲というより交響曲といった感じの派手な曲、ここでも基本はオケ任せで、日フィルから(特に弦)生き生きとした響きを引き出していました。
 そしてお目当てのショスタコ、冒頭からして過去聴いたことが無い程あっさりとしたスタート、基本は速めのテンポで、縦だけは常にキチッと合わせる指揮で、表情付けは奏者任せです。ブラスの吹きっぷりもそれなり(終楽章冒頭だけかなり激しかったです)、第2楽章の諧謔味もほどほどと、実に風通しの良いショスタコでした。タコヲタには喜ばれないスタイルでしょうが、これもありかなという印象です。白眉は第3楽章、ここだけは遅め(普通)のテンポで、最小の手振りで弦の音量を精妙にコントロールしつつ(この辺が息子にはまだ真似出来ない)、木管のソロは自由に歌わせており、聴き応えがありました。
 盛大な拍手に応え、アンコールに聴いたことの無い弦楽作品をやってくれました。

 勝手なもので、ロシア指揮者がロシアオケでこんな演奏をやると不満タラタラなのに、このコンビならOK!って感じです。ともあれ、パパヤルヴィはオケの良さを引き出すことに長けた指揮者だということを知りました。

2006年6月29日木曜日

ジダン、ヤルヴィJr - クリスチャン・ヤルヴィ&東フィル 展覧会の絵

 (地上波放送が無かった(怒)ので一日遅れですが…) いやあ、ジダン凄いっす、ラストゲームだなんて書いてごめんなさい。最後のシュート、ダイジェストを観ただけでゾクッとする程ですから、生放送で観ていれば泣いちゃったかも。しかし、あれだけのタレントを揃えながら、スペインはやはりスペインでしたね。まあ、その意味オランダもやはりオランダでしたけど。

 次の準々決勝でスペインとの華々しい応酬を観たかったところですが、まあ、フランスに8年前の決勝の借りを返せるのはある意味もっと嬉しいかも。何といってもあの時はジダンにヘッドを決められる屈辱(?)でしばし茫然としましたから、今回は倍にして返して、引退に花を添えてあげましょう。

 これでベスト8が出揃ったわけですが、当然、というチームを除けばやはり怖いのは下馬評の低かった地元ドイツ、前回ぼちぼち程度のメンバーで決勝まで行き、コンフェデ杯でも経験不足のメンバーで3位になった(ブラジルも苦戦)勝負強さは侮れません。暑さと日程の厳しいW杯では平均年齢の若さが物を言う(http://fifaworldcup.yahoo.com/06/jp/060605/1/5zij.html)といった過去のデータもあります。大会前半のベストチーム、アルゼンチンとの次戦でその真価が問われるところ。

 個人的な希望としては、フランスを撃破した後は、調子の出てきたイングランドとの激戦を制し、決勝でアルゼンチンとの華麗な対決を見たいところ。まあ、決勝の相手はイタリアでもいいけど、ドイツは嫌です。

 本日はついに30度突破! 空も結構晴れてます。今夜はヤルヴィ弟の2日目、帰りが遅くなるので、感想はまた明日。

 翌日にこれを書いてます。まずまずでしたが、先週の「弦楽のためのアダージョ」で感じたような衝撃は無かったです。

6月29日(木) オペラシティ
 クリスチャン・ヤルヴィ指揮東フィル 「ペール・ギュント」第1組曲、トゥール 電子チェロ協奏曲、展覧会の絵
 最初のグリーグは柔らか目の音色をベースに、終曲ではメリハリのある迫力も。白眉は「オーゼの死」後半、先週のバーバーと同様、しつこいくらいのマーラー9番風の超ピアニシモ表現。この辺が彼の特質か。2曲目は現代曲、電子チェロは弦と指板(黒いところ)の部分だけで、奇異な形状。でも音は結構普通です。盛大な拍手に応えて、ソリストのゲリンガスは定番のアンコールを2曲(「熊蜂の飛行」と「鳥の歌」)も演奏してくれました。
 後半はお目当ての「展覧会の絵」、「こびと」と「バーバ・ヤーガ」でのメリハリのある激しい表現と「カタコンブ」「キエフの大門」でのハーモニーが美しいまま音量を出すブラスが印象的。終曲の迫力は期待した程ではありませんでしたが、ラスト、長ーいクレッシェンドの後の最後の一音は余韻もたっぷりの大音響で綺麗に決まりました。

 明日(30日)はパパ・ヤルヴィです。

2006年6月25日日曜日

伝説の始まり? - クリスチャン・ヤルヴィ&東フィル 弦楽のためのアダージョ、火の鳥

 昨夜コンサートから帰って、W杯決勝T2試合、F1予選、NBAダイジェストと観るものが多すぎて徹夜。朝方力尽き、午前中は3時間ほど寝てしまいました。

 昼前に復活し、今日もコンサートへ出陣。ヤルヴィ家の次男。どんな指揮をするか楽しみです。

6月25日(日) オーチャードホール
 クリスチャン・ヤルヴィ指揮東京フィル バーバー 弦楽のためのアダージョ、コープランド Cl協奏曲、ストラヴィンスキー 「火の鳥」<全曲>
 オープニングのバーバーが白眉、非常に遅いテンポで繊細に一音一音重ねてゆく演奏で「おいおい、マーラー9番の終楽章かよ!」と突っ込んでしまう程。東フィルの弦にもう少し音の潤いと音程の正確さがあれば、伝説の演奏になっていたと思います。
 次のコープランド、ソリストのストルツマンは落ち着きの無い物腰と妙に深いお辞儀が印象的。勿論演奏は最初の一音からその存在感は凄かったです。鳴り止まぬ拍手に応え、練習曲っぽいアンコールを奏してくれました。
 そしてメインの「火の鳥」全曲。これもppへのこだわりを感じるなかなかの演奏でしたが、前半の叙情性、中盤からラストの迫力、ともにそれなりで、バーバーに比べると凄さは感じませんでした。音色の変化が少し乏しかった気もします。また個人的には、バンダのTpを舞台裏に置いたせいでクライマックスのハイトーンが全く聴こえず、原典版特有の壮大な響きが聴けなかったところが大いに不満でした。

 ともあれ、只者ならぬ指揮者だと感じさせられました。木曜の「展覧会」も楽しみです。その前に今夜もW杯にF1にと大忙しです。

2006年6月24日土曜日

快速コチシュ&ハンガリー国立フィルのチャイコフスキー

 スペインの層の厚さには呆れます、イニエスタ、ホアキン、レジェス、セスク・ファブレガス等々、錚々たるメンツが、なかなか出られないんですから。とは言え、毎回期待を裏切るチームですから決勝Tでは意外と脆いと思ってます。

 本日は思ったより晴れて、そこそこの陽気。気温も30度近く、(個人的には)テニス日和。朝から昼過ぎまで練習して、今アキバのフリーネットスペース。これから夕方はコンサート、名ピアニスト、コチシュの弾き振りです。遅くなるので、例によって記事のみ作成。

 翌日の感想UPになります。ハンガリー国立フィルって、以前はハンガリー国立響って言ってた気がしますが、結構前に改名してたんですね。

6月24日(土) 東京文化会館
 ゾルタン・コチシュ指揮ハンガリー国立フィル スラヴ行進曲、ベートーヴェン PC4番、チャイコフスキー Sym6番
 スラヴ行進曲冒頭、そのテンポの速さにビックリ、そう云えば行進曲だったんですね。クセのある歌い回しも印象的。悲愴も同様に基本はテンポ速めで余り粘らない演奏。ただ、元々速い第3楽章などは普通のテンポ。金管の鳴り、特にTbは凄く、昔カラヤン&PPOのディスクで話題になった、第1楽章中盤のTbがffで下降する動機は見事な吹きっぷりでした。木管陣も味のある演奏。最初は冴えなかった弦も後半徐々に伸びとキレが出てきました。
 あと印象的だったのは悲愴を全楽章続けて演奏したこと。第3楽章後の拍手防止作戦でしょうか? そのあとはいかにも、というベタなアンコールが2曲、ハンガリー舞曲(第1番?)とラコッツィ行進曲。両曲ともやはり快速テンポで疾走し、後者のラストだけ、たっぷりと見得を切って豪快に鳴らしての大団円でした。

2006年6月23日金曜日

天才の2つのベクトル - 乙一「天帝妖狐」

久保田骨折!しかも私生活で。絶句…、これで今年はダメかも。

 ユーロ2004でのベストチーム、チェコの敗退は残念。決勝T1回戦でブラジルとの対戦を楽しみにしてましたが、ポルトガルと同様、タレントがいる割には選手層が薄めなので主力の故障の影響は大きいよう。

 一方我がセレソンはお陰さまで、不調ロナウドの練習、カフーなど年寄り組の休息、シシーニョやジュニーニョなど控え組の実戦と、決勝Tへ向けたっぷり調整させて頂きました。

 終日曇りで気温も平年並み。今日も先週読んだ本から。天才乙一の第2作品集です。たぶんまだ10代の頃の作。

天帝妖狐 乙一
 ミステリー(MASK)とホラー(狐)、毛色の異なる中篇が2本、どちらも著者の典型的な特質。どっちの作品が好みかで、読む人の嗜好がはっきり判ります。(無論僕は前者)
<< 以降ネタバレ注意!! >>
 「A MASKED BALL」はジュヴナイルタッチで、(意図的かもしれませんが)珍しく書き手の若さを感じさせる作品。トイレの落書きという設定は秀逸。伏線も見事な良質の本格ミステリーになってます。「仮面ライダー」で気付かない自分のバカさ加減に呆れました。一方表題作は「泣かせ」系のホラー、「オペラ座の怪人」「シザーハンズ」あたりを思い起こさせます。ただ初出の新書版(?)とは内容が大幅に違うらしく、文庫版ではミステリー部分をばっさり切り、切ない系の部分に重点を置いたとのこと。うーん、初出の方を読みたかったかも。ただ、人工臭のするミステリーよりも、切ない話を求める人の方が圧倒的に多いので、殆どの人は改稿版の方を推すんでしょうけれど。

 明日はハンガリー国立フィル。たまにはスカッと晴れて欲しいものです。

2006年6月21日水曜日

ジャッド&新日の陽性ショスタコーヴィチ7番


 交流戦が終了、阪神は首位に立っている予定でしたがゲーム差無しの2位。まあ、上々でしょう。

 曇りがちで湿度が高め、気温は朝から晩まで20度前後と一定。今夜はジャッド&新日でショスタコーヴィチの7番。例によって帰りが遅くなるので、感想はたぶん明日になります。

 夜半からは雨、その天候とは裏腹に陽性のショスタコーヴィチでした。

6月21日(水) サントリーホール
 ジェームズ・ジャッド指揮新日フィル ショスタコーヴィチ Vn協奏曲1番、Sym7番
前半のVn協奏曲1番は個性的な曲、守備範囲外なのでよく判りませんが、ソリストの渡辺玲子さんは拍手喝采を受けてました。そしてお目当ての7番、バンダはまたも舞台上の右奥(残念)。ジャッドは指揮棒を使わず、右手で拍をきっちり刻むシンプルな指揮スタイルで、要所では両手の表情がいろいろ変化して起伏を作りだす印象。サウンド作りは弦楽器中心で、細かい指示は弦楽器に集中し、管楽セクションへは要所のみ。全体的にテンポは速め、アタックをしっかりつけ、特に弦を歯切れよく弾かせるので、非常に活気のある陽性の響きがします。明るいシュスタコ!まあ7番ならOKかも。印象的だったのは、もともと速いテンポが更に加速して、オケが着いて行けない位だった第1楽章ボレロ部分の後半、そして弦を伸び伸びと歌わせ、特にVnがよく鳴っていた第3楽章です。また、終楽章クライマックスだけは普通のテンポで、じっくりとした盛り上がり。最後の一音にいたっては、先日のキタエンコ&東響より更に長かった程です。

2006年6月15日木曜日

飯守&読響の王道マーラー1番

情け無い…、阪神またも楽天と競っちゃいました。

 昨夜のスペインvs.ウクライナは職場の大画面TVで観戦。プジョルはバルサでの活躍を維持していて見事。やはり大きなTVはいいですね、迫力が違います。

 スペインやチェコなど、予選で苦労してプレーオフにまで回ったチームは本大会では好調なのに、ウクライナやセルビア・モンテネグロなど予選で好調だったチームは力が出ていない感じ、特に中盤のチェックが甘い印象。初出場の緊張や気温の影響などあるんでしょうか?

 今夜は飯守泰次郎のマーラー、彼のマーラーは2番をシティ・フィルで聴いたことがあります。その時はオケの調子が悪く、余り冴えない演奏でしたが、解釈自体は今時珍しい重厚なものだったと記憶しています。今日は機能性の高い読響なので楽しみです。例によって感想はまた後で。

 4日続けて曇りかと思ったら夕方からは雨、演奏はビックリするくらいコテコテなマーラーでした。

6月15日(木) 新宿文化センター
 飯守泰次郎指揮読売日響 ワーグナー ジークフリート牧歌、メンデルスゾーン Vn協奏曲、マーラー Sym1番
 読売日響の公開録画なんですが、それにしては豪華なプロ。最初のジークフリート牧歌、先日の大植と比べ飯守の解釈はより旋律を歌わせるもの。にも拘らず、ハノーファーの木管陣が素晴らしかったので、歌い回しの点ではやや不利な感あり。読響も上手なんですけど。2曲目のメンデルスゾーン、16歳のソリスト南紫音がとても初々しい印象。
 後半のマーラー、飯守はゆったり目のテンポで、主題を受け持つパートにはかなり伸び伸びと吹かせる(弾かせる)印象。ある程度奏者に自由にさせつつも、フレーズ内で大きくタメを作ったり、ケレン味たっぷりにしゃくったりと、今時珍しい、アクのあるスタイル。対位法や特殊な響きの強調は薄いのですが、歌い回しはこれぞマーラー、と言う感じです。圧巻は終楽章、金管、特に1stTpの吹きっぷりは最高で、クライマックスの迫力も見事。また印象的だったのは、冒頭の嵐の後、静かに弦が歌いだす部分。これだけ表情豊かな演奏にお目に掛かったことが無いくらい。ただ、欲を言うと、リハが足りないのか、全楽章にわたってこの部分ほどの綿密な表情作りにはなっていなかったので、それが出来ていれば、大名演になっていたんじゃないでしょうか。こんな凄いマーラーを、より音のいいホールで、定期で聴けないのは残念な気がします。

 特に根拠も無く氏をブルックナー・ワーグナー指揮者だと思っており、自分の中ではブルックナー指揮者とマーラー指揮者は相容れないものなので、ここにマーラー指揮者あり!みたいな演奏は少なからず驚きでした。

2006年6月11日日曜日

壮快火の鳥 - 千葉芳裕&ル スコアール管

 本日は梅雨っぽい雨の一日、午前中のテニスがキャンセルになってゆっくり出来たので録画しておいた全仏の男子準決勝・女子決勝を観戦。対ナルバンディアンの第2セット第7ゲームのフェデラーは圧巻。あとルビチッチの第3セットタイブレークでの215km/sの2ndサーブ(でダブルフォールト)はアヤシイ系プレーヤーの本領発揮という印象。

 午後は予定通りアマオケを聴いてきました。

6月11日(日) すみだトリフォニー
 千葉芳裕指揮ル スコアール管弦楽団 ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲、イベール 寄港地、ストラヴィンスキー 火の鳥<全曲>
 このオケを聴くのはもう4、5回めですが、常に安定した演奏を聴かせてくれます。今日はフランスプロ(?)。特に火の鳥全曲版では、よくコントロールされた弱音や、打楽器と金管が吼える強奏など、スケールの大きな演奏でした。バンダのTp3本は最初はオルガン前の通路、それからステージ上の左後方へ移動。そのバンダのハイトーンが響き渡り、本隊のTp、Tbもよく鳴ったクライマックスは壮快でした。

 これから(ブラジルと共に)応援するオランダ登場。セルビア・モンテネグロは守備が堅いと聞いてますので相手にとって不足無し(というか不安)。F1に全仏と、今夜もタイヘン。

2006年6月8日木曜日

大植&ハノーファー北ドイツ放送フィルのワーグナー

 うーむ、何で日ハムごときに連敗するかなあ。まあ、3タテ食らわなければそれでいいんですけど。

 今夜は大植&ハノーファーのワーグナープロ。有難い知人からの頂きもののチケットです。注目は「ジークフリート牧歌」、金管大好きの自分には少しベクトル違いですが、グレン・グールド指揮(!)トロント響の演奏(勿論ディスクです)に感動して以来のお気に入り。なのにプロで聴くのは初めてなので楽しみ。例によって感想はまた後で。

6月8日(木) サントリーホール
 大植英次指揮ハノーファー北ドイツ放送フィル ワーグナー リエンツィ序曲、ジークフリート牧歌、ワルキューレ第1幕 
 初めて聴くハノーファー北ドイツ放送フィル、先日のバンベルク響と比べ音色は明るめで、重心の低い弦セクションがややボリューム不足なところは似てました。実力的には在京メジャーと同じ位かもしれませんが、金管(特にHrは均質)と弦は音色や奏法がよく揃っており、より聴き映えがします。
 オープニングはリエンツィ、ワーグナーの序曲群の中では苦手な曲なんですが、遅めのテンポに柔らかな音作りで、新鮮な響き。次はお目当てのジークフリート牧歌、純朴な音色と僅かな色気の木管群(特にOb)がいい味を出しており、牧歌的な演奏でした。
 後半は演奏会形式の「ワルキューレ」第1幕。木管のトップがかなり入れ替わっていて(ObやFlなど)驚き。(もしかして層が厚い?) 歌手中心でやや守備範囲外のため、1時間以上は少しキツかったです。前半、他の木管に比べFlの出番が極端に少ないのが新たな発見。幕切れではワーグナーチューバ4本を含むオケが分厚く盛り上がりました。
 盛大な拍手に応え、Tp2名と前半の1stFlが舞台に加わり、まず最初のアンコールは予想通りワルキューレの騎行、これで終わりかと思ったら次にジークフリートの葬送行進曲!既に開演2時間半を超しているのに大サービス、どちらも重厚に盛り上がって満足です。

 大植がミネソタ管を連れてきた時、メインのマーラー5番より、アンコールの「キャンディード」序曲に感動したのを思い出しました。

2006年6月5日月曜日

天才の多面性 - 乙一「ZOO」

阪神首位陥落!とは言え、巨人が勝ち過ぎてるだけで、予定通り順調に2勝1敗ペースなんでOKです。

 3日連続して曇り&20度前後の低めの気温、ただ雨が降らないだけ5月よりマシ。

 「GOTH」に感服して以来、乙一は目の離せない作家。読みたかった「ZOO」が文庫化なって、つい定価で購入、先週読了。

ZOO 乙一
 ホラー、SFから本格まで、ジャンル分け不能と言われる著者の本領発揮の短編集。ただ本格マニアの自分には「GOTH」の方が好み。「落ちる飛行機の中で」の奇妙な味、「Closet」の綱渡り、書き方を変えれば見事な不可能犯罪物になる「血液を探せ!」などが印象に残りますが、一番のインパクトは「SEVEN ROOMS」の卓抜なプロットです。

 「ダヴィンチ・コード」(2006/6/2)でもそうでしたが、通常の分量の本を2分冊にする悪徳商法(集英社文庫)には納得が行きません。「GOTH」の時もそうだったので、版元の方針かあ、と最初は驚かなかったのですが、よく見ると「GOTH」は角川文庫!版元ちゃうやんけ!しかも「GOTH」の時は滅法面白い「作者あとがき」が2度読める、という特典があったから少しは我慢できましたが、今回はそれも無し。せち辛い世の中だ…。

 げっ、全仏は今日から毎日放送だから、と油断していたら、さっきうっかり見てはいけないモノを見てしまった気が…。「シャラポワ○○、モーレスモ○○」