2006年12月20日水曜日

ショスタコイヤーの掉尾、デプリースト&都響の8番

 冷え込みは意外と甘く零度前後、やはり今年の冬は暖かめ、それと関係してか雲は多めで、綺麗な夜空を見上げる日も少なめ、先日のふたご座流星群も雲で遮られたような。

 デプリーストは常任になる以前、都響とのショスタコーヴィチ(11番?)が評判だったと記憶してますが、マーラーしか聴いたことがありません。マーラーでは余りベタつかず、ガッチリと響きを構築してゆく印象がありますが、ショスタコはどうでしょうか。

12月20日(水) サントリーホール
 ジェイムズ・デプリースト指揮都響 シュニトケ ハイドン風モーツァルト、ショスタコーヴィチ Sym8番
 前半は世間的にはモーツァルトイヤーであることを慮っての選曲か。小編成の弦楽に都響奏者による2台のVnソロをフィーチャーした曲、暗転した状態で演奏しながら奏者が袖から入ってくる冒頭から、最後には奏者が出て行き無音になっても指揮者だけ棒を振り続けるラストまで、予想を上回る珍妙さでした。
 後半のショスタコ、デプリーストの筋肉質なマーラーから硬質な響きを予想してましたが、全くそれに反し、柔らかめの響きと各フレーズにかなり表情を付ける解釈に驚き。弱音部での表現の豊かさでは功を奏した反面、2、3楽章では少し鋭さに欠ける印象。また1、5楽章の最強奏の際は金管(特にTb)はインバルの11番の時より吹いていてかなりの迫力でしたが、壮絶、というレベルには達しない感じ。一方弦はffではそこそこ鳴ってましたが、かなり抑えさせられたppがやや苦しかったかも。柔和で表情豊かな8番、これはこれで一つのアプローチではあるのでしょう。

 身勝手な期待をしたため、少し肩透かしを食らった感がありました。奇しくもこれから帰ってエアチェックするのはスヴェトラーノフ&LSOによるショスタコ8番、その間に録画されてる筈の亀田兄弟でも見ます。

<追記> 「掉尾」って「とうび」では変換してくれないんですね(正しくは「ちょうび」、たぶん)。まだ慣用読みとは認められてないのか…。

2006年12月16日土曜日

緩徐楽章好きの大物 - 松田理奈さんのVn

昨夜観た極真全日本大会、田中健太郎の負けは意外でしたが、内田の頑張りは見事。

 京都出張では結構ご馳走になったため、2日で2kg増加! 懸念していた通りの自己最高体重(涙)、この土日は非常事態減食モードです。

 そこそこの陽気に恵まれ、午前中はテニス。午後はブラスの「ローマの祭」を聴く予定でしたが、コバケンとのチラシ写真で気になっていたヴァイオリニストのイベントが同じ時間帯にあることを今朝発見し、そちらに行くことに。我ながら情けない位ミーハーです。

 渋谷タワレコで聴いたのは松田理奈さんのヴァイオリン、CDデビューを記念してのイベントとのこと。見た目はフツーの可愛いお嬢さんで、かなりの話し上手、トークでも演奏でも全く物怖じするところ無く、大物を感じさせます。

 トークを交えての4曲、協奏曲ではヴィルトゥオーゾ的な両端楽章より緩徐楽章が好きと語った通り、緩徐部分では深みのある音色で表情豊かに魅せてくれました。特に後半のイザイの無伴奏曲(ディエス・イレが出てくるもの)とツィゴイネルワイゼンがなかなかに圧倒的で、通常30分ほどのイベントが45分にも及ぶ贅沢なご馳走でした。

 明日はアマオケのマーラー5番、これが今年のマーラー納めかも。

2006年12月3日日曜日

ヤンソンス&コンセルトヘボウのゴージャスマーラー1番

 いやあ、昨夜のK1GP決勝大会、P.アーツには感動しました。泣きそうなくらい。また今やK1の「レジェンド」であるバンナ、ホースト、アーツを下してのシュルトの優勝は非常に価値がありますね。

 マイナス1度以下まで冷え込む中、上記の興奮も冷めやらぬ中、1時間半睡眠で早起きして午前中はテニス、午後早めに上がって、すみだトリフォニーへ。ロストロポーヴィチ&新日のショスタコ8番、チケットがが余っている人から安く譲って貰う作戦開始です。

 しかーし、大野&新日のショスタコ4番の時は上手くいったこの作戦も本日は失敗、当日券は全種ありましたが、最安席6000円と元々定価がバカ高いため断念、スゴスゴとサントリーへ移動しました。

 夜は30日に続きヤンソンス&RACO、これまた別のリッチな後輩から譲り受けたチケット、これで二人の後輩からそれぞれNYPとRACOを1枚ずつ、計4公演も譲って貰ったことになります。何たるシアワセ、何と出来た後輩達。

 不明にしてオスロフィルと来日した頃のヤンソンスを注目していなかったので、実は彼のマーラーの実演は初めてです。

12月3日(日) サントリーホール
マリス・ヤンソンス指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管 モーツァルト PC25番、マーラー Sym1番
 前半は守備範囲外、第1楽章、ピアノの入りまでが長いのに驚きました。盛大な拍手に応え、出入りが駆け足なのとお辞儀が180度と超深いのが印象的だったソリストの内田光子女史は、アンコールにシューベルトを雰囲気たっぷりに弾いてくれました。
 そしてお目当てのマーラー、たまに個性的な表現はありますが、ヤンソンスの解釈は思ったよりもテンポやバランスをいじらず、ある程度オケに任せる印象で、音楽がよく流れてゆきます。それでもコンセルトヘボウ管はマーラーの語法は心得ており、オケ任せでもマーラーらしさは余り希薄になりません。ただ、第3楽章の後半は強弱とテンポにかなりメリハリをつけ、少し編曲まで入ってました。また終楽章の緩徐部分もそれなりに粘ってました。
 オケは今日もHrが存在感たっぷりで、特にトップ奏者のエッチっぽいヴィヴラートと全員強奏時のスラー気味のベタ吹きが見事。弦はそれ程の音量では無いれどそれなりの迫力、木管陣は今日も伸び伸びです。クライマックス、一流オケでも貧相になりがちな最後のTpのハイトーンもバッチリの迫力でなかなかゴージャスに終わりました。ただ、正統なマーラーとはちょっと違うでしょ、って感じではあります。Hrの起立は無し、アンコールも無し。

オスロフィルとの同曲の際は、お得意の悲しきワルツやハイドンのセレナードあたりアンコールをやったと思うのですが…。