2007年1月29日月曜日

広辞苑とフィクション - 伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」

 朝から暖かめ、ただ午後は気温が上がらず。本日は試合、サックリ負けて、今年に入って2戦連続予選の初戦負け。まあ、冬場は例年勝てないので結果はいいとしても、パフォーマンスレベルが低く練習不足を痛感。

 「小説」、「ノベル」、「フィクション」は本来同じ物を指すのかもしれませんが、日本の小説の主流が一時私小説になった影響でしょうか、「フィクション」というと荒唐無稽なものもOKだけど、「小説」というと虚構に仮託して真実を語るにせよある程度リアリティを重んじる、と何となく違った語感を感じます。自分だけの感覚かもしれませんが。

 「事実は小説より奇なり、されどフィクションはそれを遥かに凌駕する。」という言説もアリかと思いますし、伊坂幸太郎の処女作「オーデュボンの祈り」ではまさにそれに近い感じを受けました。

 彼が過去4作で一貫して主張していた「人間の命は他の生物の命に比べて特別なものじゃない、むしろ邪悪な分だけ価値が低い」というテーマ、それが前面に出た第5作を読みました。

アヒルと鴨のコインロッカー 伊坂幸太郎
 「ペット殺し」の事件を幹として、数人の若者を巡る物語が2つの異なる時間軸で語られ、それが悲しくも美しい収束へ向かって突き進みます。タイトルが絶妙。またお約束の他作品とのクロスオーヴァーは少なめ。この小さな宝石のようなきらめきを持つ物語は青春小説としても読めますし、「重力ピエロ」と同様、初期作より小説としては巧くなっていてより広い読者に支持されるでしょう。ただ、ミステリーマニア的には却って物足りなさを感じるのも事実です。

 「きらめき」って「燦き」だと思ったんですが、変換すると「煌き」しか出てこなくて、しかも広辞林、いや広辞苑もその字しか載ってません。でもこれだとイメージが違うのでひらがな書きにしました。まあ「燦き」だと「かがやき」とも読まれてしまうか。

 広辞苑で小説、ノベル、フィクションの違いでも調べてみます。

2007年1月25日木曜日

コバケン初の9番

 朝はかなり冷え込みましたが、日中は昨日以上のポカポカ陽気。

 今夜は日フィル音楽監督の集大成、コバケンが初めてマーラー9番に挑みます。帰りが遅くなるので記事のみにて。

<続き>
 戻りました。今夜は星が綺麗です。予想とはかなり違う演奏でした。

1月25日(木) サントリーホール
 小林研一郎指揮日フィル マーラー Sym9番
やや遅めのテンポで各声部を明確にした音作りで、想像よりずっと端整な演奏。特に弦はボウイングを工夫し音を粒立たせる表情付け、音にキレがあり、ピッツィカートの強調と併せ印象的。最初は冴えなかったけれど段々調子の出てきたHrを始め、ブラス陣もまずまずの出来。
 終楽章の前半でこそコバケンらしいうねりが炸裂してはいましたが、第3楽章後半などはオケの方が先走りする位で、トータルとしてはビックリするほど地道で明晰な演奏でした。特に終楽章後半のクライマックス、弦とのバランスを取ってブラスを抑え気味にしたのは驚きでした。(個人的には爆発して欲しかったのですが。)
 本日の私的MVPは第1、第2楽章の最後の音など、数々の弱音を見事にこなした美人ピッコロ奏者です。

 時にショーマン的な姿勢が取り沙汰されるコバケンですが、初めての曲ということもあってか、思ったより謙虚に真摯に楽譜と向き合っていることを感じさせられた一夜でした。(とかなり生意気な物言いでスミマセン。)

2007年1月7日日曜日

漫画芸術家? - 恋の門

 年末に続き爆弾低気圧第2弾が来襲中、ただ関東地方の雨は昨日まで、本日は晴れ、風が徐々に強まる中、午前中はテニス、午後にブラスを聴きに行こうと思ってたんですが、雑用が残っているので自重。

 本日も年末に観た映画から。鬼才松尾スズキの初監督作品、演技者「マシーン日記」のオチに感動して以来、彼を尊敬してるので、ちょっと期待です。

恋の門 <'04 日>
 オタク的な面を持つ者同士の異種格闘技的な恋愛を描いた作品、これも原作はコミックとのこと。映像的にもギャグ的にも部分部分は面白かったです。が、終わり方はスッキリ感が足りない感じ。原作がある以上仕方の無いところかも。次は監督自身の作品の映像化に期待です。あと半分も気付いていないとは思いますが、芸能界と漫画界から大勢のカメオ出演が凄いです。