2008年8月31日日曜日

無私の献身 - 東野圭吾「容疑者xの献身」

 早朝新宿に着くと雨、しかも寒い、この10日間ずっとこんな感じ、猛暑どころか、もうこれは冷夏と言ってもいいのでは?

 テニス道具を持参していたので、しばらくマックの無線LANサービスで時間を潰してそのまま練習へ、その頃には雨も上がっており、練習するうちに夏の陽射しが、気温も30度まで上昇、やっぱこうでなくちゃ、まだ8月なんだし。

 久々の夏の陽気に帰り道はグロ氷、と思いましたが、まだ減量中なので、コンビニに寄ってシャビ乳で我慢。

 明るいうちに茨城に戻ると、何か涼しい…、こっちは28度位までしか上がらなかったらしい、見上げれば空には見事なうろこ雲、ってそれ、秋の雲です(涙)。

 今日は今回の旅で読んだ本から、2005年のミステリーシーンを席巻した作品が、映画化に合わせて予想通りの文庫化、書店で発見即買いです。

 このガレリオシリーズ、先行の2作品(「探偵ガレリオ」「予知夢」)は本格テイストの点からすると(数編を除いて)全く物足りないものでしたが、この初の長編は世評が高いだけに期待大、目下読書中の本を脇に置いて一気に読みました。

容疑者xの献身 東野圭吾
 やむなく殺人を犯してしまった女性を助けるべく、隣人が目論む完全犯罪、それにシリーズキャラクターの湯川と草薙が挑みます。倒叙物ですが犯人の隠蔽工作が描かれないため、普通の本格物の如き謎が楽しめます。トリックは比較的分かりやすいながら、そこは手練れの東野圭吾、巧い書き方で最後はずしりと感動を味わわせてくれます。その意味で確かに見事な作品でした。

 映画版では「ダルマの石神」を誰が演じるのかとても興味深いです。

2008年8月27日水曜日

天は自ら助くる者を、その2 - アイス・キャッスル


 昨夜の「銭形海」ではマーラー4番の第1楽章が、少しビックリでした。

 気温は30度には届きませんでしたが久々に夏の青空が、また夜には雲の間から輝く木星(たぶん)が望めました。

 夕方自転車で通った田んぼ道の手前に、百日紅(さるすべり)の樹が10本以上群生しているところがあり、そこらじゅうがピンクの花でいっぱい、とても綺麗でした。

 自分にとって青春映画のベストワンは「ジェレミー」、グリニス・オコーナーの可愛さは勿論ですが、主役二人の歌がともに印象的。相手役だったロビー・ベンソンは、その後も青春スター(と言う程でもないけれど)って感じでいくつか出てましたが、90年代以降はとんと見ません。今は何してるんでしょう。まあ、個性的な顔だったけど…。

 その彼の主演した映画で、何と公開当時(高校生位か)に劇場で観た作品を先日深夜にやっており、懐かしくてついまた観てしまいました。

アイス・キャッスル <'78 米>
 オリンピックを目指していた女子フィギュア選手が事故で視力を失い、その絶望からもう一度挑戦する青春もの、実際のトップスケーターだったリン=ホリー・ジョンソンがやはり可愛く、そしてM.ハムリッシュの音楽が素敵です。父親役がトム・スケリットでちょっと驚き。

 この頃のフィギュアスケートは不粋なストッキングなど着用しない、いい時代でした。

 明日はちょっとヘンなオケでショスタコの5番です。

2008年8月24日日曜日

アシュケナージ&EUユース、弩級の2番

 昨夜のキューバvs.韓国は決勝に相応しいシビれる展開、特に9回2死の退場劇の後、騒然とした中に登場したバッテリー両名の肝の据わり具合は尋常じゃなかったです。

 予報ほど気温が上がらず25度程度、雨がちだったので午前は練習をやめてマラソン観戦、夏マラソンで高速レースになるのを初めて見てビックリ、アフリカ勢が主導権を握るところといい、まるで1万メートルみたい。

 午後はコンサートで横浜へ、音の悪い県民ホール、そして過去何度も聴いて感心したことの無いアシュケナージのマーラー、なんですがユースオケゆえチケットが安いのが魅力。

8月24日(日) 神奈川県民ホール
 ウラディーミル・アシュケナージ指揮EUユース・オーケストラ マーラー Sym2番
まず巨大編成に驚き、弦だけでざっと90余名、左右の張り出し部分まで舞台を広げて乗ってます。木管は全て4、5管、金管もやや多め(Hr7,Tp6,Tb4)。最初にまず両国国歌をオケ演奏、EUの国歌(?)は何とベートーヴェン第9「歓喜の歌」でした。そしてマーラー、100名近い弦奏者が皆一所懸命弾くため冒頭からボリューム満点、また管楽器も皆達者、しかもフレージングなど表現を統一していて鮮やか。TpとTbのトップは美音でハイトーンも完璧。そしてコンミスのソロがとても表情豊かでチャーミング、彼女率いる弦セクションの第2楽章後半での歌い回しもチャーミングでした。アシュケナージの解釈はいつもの通り熱過ぎず寒過ぎず中途半端な印象、途中それなりに色々ありましたが、オケの響きの充実度で十分満足、特にバンダも加わりHr11本となったクライマックスでは東京音大の合唱も頑張って、(ホールの音の悪さを考慮すると)同曲過去最高クラスの迫力にして壮大な響きでした。

 舞台裏のバンダは日本勢(たぶん学生)、でもよく見ると、またトカレフさんが交じってました。

 神奈川県民ホールが音で一杯になるのは初めての体験、お買い得のコンサートでした。

2008年8月21日木曜日

元祖バカミス系第1作 - マイケル・スレイド「ヘッドハンター」

 いやぁ、ボルトの200m、19秒4を切るかもとは思ってましたが、いやはや、19秒30とは、凡人の想像を超えてます。またその衝撃のレースで殆どの視聴者がお腹一杯になっていても、その後の決勝レースもちゃんと放送、さすが陸上に実績のTBS、昨夜の某国営放送とは違います。

 3日続けて同じ様な天気、ただ少し違ったのは夕方の雷雨の後、気温が10度位下がって20度を割ったこと、この季節10度台はかなり寒いです。

 夕立の後、ネットサーフィンに立ち寄ったマックでは100円コーヒーが120円に値上がりしていてビックリ!

 本日はお盆前の合宿の頃に読んだ本から、このところバカミス系の流れなので、その言葉の生まれた発端とも言われるチーム作家スレイドの処女作です。

ヘッドハンター マイケル・スレイド
 連続首切り殺人鬼とそれを追う警察チームの対決を描くサイコスリラー、少々読みにくく感じましたが、最後の方の展開は噂通りかなりのもの、特に終章で明らかになるアイテムはトンデモ系ながら鮮やか。仕掛けの想像は付いたのですが、どうも矛盾がある気がして確信には至らず、ただ再読してチェックしてみると、気になる1点以外は注意深く書かれてました。

 実はスレイドの作品は「髑髏島の惨劇」を先に読んでしまっていたのですが、登場人物が共通するのでちょっと後悔、今後は発表順に読むことにします。

2008年8月5日火曜日

尾高&東フィルのラフマニノフ

 翌朝にこれを書いてます。深夜の「銭形海」では何とマイスタージンガーの第3幕が、しかも時系列通りに使われてました。

 この日は雲が低く垂れこめて気温は終日26度前後、ただ湿度が高く寒さは感じません。コンサートに出た都心では場所によりゲリラ的な驟雨が降ってました。

 夜は例年この時期開催されているフェスタサマーミューザへ、今年はこれ、という好みの演目が無かったのですが、例年安いチケット代(基本S3000円&A2000円)で頑張ってくれてるし、一つ行くなら今日かなあ、と。しかも連れ(昔のブラス仲間)の趣味にも合ってます。

 とその肝心の連れに無断キャンセルを食らってガックリ(涙)。

8月5日(火) ミューザ川崎
 尾高忠明指揮東フィル ラフマニノフ ヴォカリーズ、パガニーニの主題による狂詩曲 Sym2番
 最初のヴォカリーズはオケ版、大好きな曲ですが実演は2、3度目くらい、やや抑え目の演奏でした。次のパガニーニは前半かなりの快速テンポ、小山実稚恵のピアノは甘さ控えめの印象。後半の2番、整理が行き届いていて各パートが明確に響き、表情付けは基本淡白系ながら要所ではそれなりに粘ります。第1楽章リピート省略は大賛成。オケは弦に伸びを欠きましたが、Hrが(やや雑ながら)よく鳴ってました。強奏部で激しくうねった第1・3楽章が印象的、終楽章クライマックスの盛り上げ方も堂に入ったもの。お買い得のコンサートだったと思います。

 プログラムによると、尾高氏はこの2番に魅力を感じておらず、しぶしぶ引き受けた演奏が好評でレパートリーとなり、だんだん好きになってきたとのこと、ちょっと驚きです。

2008年8月1日金曜日

チョン&アジアフィルの5番

 あっという間にもう8月、これから徐々に暑さが和らいでゆくかと思うと哀しい限り。京都など西日本の数都市では7月は全31日が真夏日だったとか、羨ましい限りです。京都に住んでいた頃はその有難さがよく分かっていなかったなあ…。

 この日も曇りがちでギリギリの真夏日、こんな日ばっかりです。

 夜はチョン&アジア・フィルでマーラー5番、このオケを聴くのは初めて、チョンの呼びかけで集まったアジア各国のオケメンバーを中心に、要所には欧米オケの首席クラス(非アジア人も)を配しています。日本勢は東フィルが中心。

8月1日(金) サントリーホール
 チョン・ミュンフン指揮アジア・フィル ベートーヴェン Pf、VnとVcのための三重協奏曲、マーラー Sym5番
100%守備範囲外の1曲目、ソリストはチョンの弾き振りと樫本大進、ジャン・ワンでした。そしてお目当てマーラー、チョンはいつもの通り、マーラー独特のアクは少ない割には表現は劇的、また基本的には一昨年のLSOとの同曲と同じく、速い部分は意外と煽らず、全体的にゆっくりめ、表情付けもかなり奏者任せ、ただ第2楽章中盤で低弦がppで旋律を歌いだす部分や第4楽章後半で主題が回帰する部分での止まりそうなテンポ設定など、より個性を前面に出してました。ソロTp(RACO首席)とソロHr(LSO首席)はさすが。寄せ集めのせいか弦セクションは音の伸びに欠けましたが、ブラス、特にTpとHrの吹きっぷりは見事で、大団円では壮大な響きが聴けました。でもTbはもっと豪快に吹いて欲しかったかも。アンコールは無し。

 個人的MIPは、キョーレツな個性で目立ちまくっていた1stObです(東洋人ですが、どこの方か不明)。

 昨年だったか、このコンビの1番をスルーしたのは失敗だった気がしてきました。