2009年9月8日火曜日

古典再訪その4: クイーンのダイイングメッセージ - エラリー・クイーン「シャム双子の謎」

 朝玄関を出るとキンモクセイの香りがしました。(例年書いてますが)子供の頃は好きだったこの香り、今は「夏は終わったぞ!」と声高に主張しているみたいで苦手です。

 台風の影響か晴れたり霧雨が降ったりとやや不安定な天気、でもたまに射す陽光にはまだ夏の力強さが残っています。また今夕も虫の大合唱が凄いです。

 ふた月ほど前のこと、読みたかった北村薫「ニッポン硬貨の謎」を100円の棚で発見、すぐ読もうと思ったら、何と前半はクイーン「シャム双子の謎」の詳細なアナリーゼになっているとのこと、しかし内容を余り覚えていない…。

 この「シャム双生児」、子供用にリライトされたものと、創元推理文庫版は(ずっと前に)読んでますが、比較的新しい訳の早川文庫版は未読、って訳でそれを古本屋でGETして復習しよう、と思い立って探すことひと月、なかなか見つかりません(涙)。

 それで仕方無く手持ちの創元版でガマンすることにし、お盆に帰省した際、紙魚の跋扈する本棚から発掘して先週末再読を完了しました。

シャム双子の謎 エラリー・クイーン
 山火事に取り囲まれた山荘に迷い込んだクイーン親子の前に起こる殺人とトランプによるダイイングメッセージ、犯人特定の論理はややスマートさに欠けますが、シンプルながら巧いプロットとトランプに関するちょっとした考察はさすが、そして何より山火事そのものが最大の主役で、その点が他の国名シリーズと一線を画すサスペンスフルな魅力となっています。

 因みに国名シリーズの邦題に関し創元は「○○の謎」、早川は「○○の秘密」で統一しており、本作の創元版は「シャム双子の謎」でハヤカワ版は「シャム双生児の秘密」、個人的には「シャム双生児の謎」というタイトルが一番しっくり来るのですが。

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