2010年6月27日日曜日

メルクル&N響の1番

「アイドルの穴2010」が昨夜最終回、元キャンパスナイターズ木村好珠がどうなったか気になってW杯、ウィンブルドン、F1の合間にチェックすると、まだ残っていたのみならず、何と余裕の2位通過で日テレジェニックに! しかしキャンパスナイターズの中堅が2位、って日テレジェニック大丈夫? しかも選出された6名中、木村が下から2番目に若い、ってどういうこと?

 昨夜降りだした雨は朝にはほぼやみ、日中は時折ぱらつくけれど本降りにならない状態が継続、気温も午後はほぼ28度前後と高め、また朝の最低23.6度はたぶん今年最高値。右膝の状態が思わしくなく、かつ明日は試合があるため練習はパス、午前中にウィンブルドンなど溜まったビデオを消化し、午後ゆっくりとコンサートへ。

 聴いたのはメルクル指揮するN響のマーラー、彼のマーラーは初めてでかつこのコンビはトーキョー・リング「黄昏」で豪演を聴かせてくれたので期待です。

6月27日(日) 所沢ミューズ アークホール
 準・メルクル指揮N響 リスト PC2番、マーラー Sym1番
いいコンビだと思うのに会場は6、7分の入り、また地方公演のせいかメンバーも微妙に違う感じ(他の在京メジャーの人とか)です。前半のリストはよく耳にする(マーラー6番の出てくる)やつかと思ったら違う曲、あれはPC1番でこれは2番らしい、最後の1音でTpを強烈に吹かせていたのが印象的、若そうなソリストジャン=フレデリック・ヌーブルジェは拍手に応えてしみじみ系のアンコール(曲名チェックするの忘れました…)。
 後半お目当てのマーラー、メルクルは余り神経質にならず流れを重視している印象、時々変な所でポルタメントをかけたりもしてましたが、基本的にはアクもやや少なめでメリハリある音作り、テンポは中庸ながら速い部分は速くなる傾向、終楽章では大きくタメを作る表現もあり、ブラスを開放、クライマックスでは低弦の刻みを強調し、起立した8本のHrもよく鳴り、Tpもなかなか爆発、細かい不揃いは気にせず一気に盛り上がりました。

 最近ここによく書いている終楽章中盤のミュート着脱早業ファンファーレ、Tbはミュート部後半を2ndに肩代わりさせる作戦でしたが、アシュケナージの6番の時にもトップを吹いてた1stTpは見事にキメてました。

 ミューズから航空公園駅までのそこそこある道のり、膝をいたわりつつかなりゆっくりと歩いていると、片手に楽器、片手に着替え(コンサート用の服)を持った楽員さんが何人も抜いてゆきます。めっちゃ着替え早いっすね、みなさん!

 今夜のウィンブルドンは日曜で休み、F1とサッカーに集中できます! あ、その間のNBAダイジェストも忘れないようにしなければ。

2010年6月26日土曜日

バンダ大活躍 - 下野&新日のハチャトゥリャン3番、ローマの祭

昨夜はブラジルが不甲斐無いサッカーをし、NHKがキリレンコじゃなくてペトロワを選んだのでテンションだだ下がり…。

ただ、朝にスペイン1位通過の報を聞き少し立ち直りました。ホンジュラス相手ですら0-0、ってスイスらしいかも。

今「不甲斐無い」と書いて、これって2重否定だから甲斐が有ることになってしまい、意味が合わないかも、と疑問に思い始めました。気にせず使ってましたが。

で、調べてみました。やはり「不甲斐無い」は間違いで、正しくは「腑甲斐無い」、「腑」は肝に通じ「肝っ玉があるのにその甲斐もない」との意、音による誤字が広まって「不甲斐無い」が定着してしまった(してない?)ようです。

お天気は何とか持って気温も昼前後は28度台と高め、午前は膝と相談しつつ練習、余り思わしくないので2時間で切り上げてトリフォニーへ。

聴いたのはマニアックなプロの多い下野竜也の振る新日、今日も15本!のTpがバンダで活躍する珍曲、ハチャトゥリャン3番が入っており、プロで聴くのは初めてです。

6月26日(土) すみだトリフォニー
下野竜也指揮新日フィル バッハの編曲もの、ハチャトゥリャン Sym3番、レスピーギ ローマの祭
最初のバッハ「幻想曲とフーガ」はエルガー編、鳴り物ジャンジャカの派手な編曲でした。そしてオルガン脇左右に15本のTpが並ぶハチャトゥリャン、バンダにはトカレフさんの顔も、ヘルツォークさんなど新日メンバーも2名入ってます、女性も3名、そして小さめの楽器を使用してる人が4名ほど、それなりのメンバーを揃えたのか、最後までしっかり鳴っており、舞台上の本隊やオルガンと併せ、(期待した程ではないにせよ)まずまず壮大な響きが聴けました。後半もバッハから、レスピーギ編の「ハッサカリア」、こっちはオーソドックスな編曲でした。そしてメインの「祭」、チルチェンセスのバンダは(1階席にいたので定かではありませんが)3階(か2階)の通路あたりに左右3本ずつ(!)いた感じ、五十年祭でのテンポの加速が大きめ、十月祭でのマンドリンはオルガン左脇に位置、ラスト主顕祭はまずまずの豪快さ、全体ではHrの豪快な鳴りが際立ってました。

明日はメルクル&N響のマーラーです! その前に今夜もW杯決勝T、ウィンブルドンにF1予選と寝られません。

2010年6月23日水曜日

ホラー+本格の処女作 - 道尾秀介「背の眼」

 昨夜のウィンブルドン、ナダルと互角に打ち合い、かつよりショットにバラエティーのある錦織はポテンシャルの高さを証明、また相手がやや悪かった伊達、ことサーブに関しては復帰前より良くなっている気がします、忘れてるだけか。

 朝から断続的な雨、時には晴れ間もあり時には激しい降り、風も強めと台風接近中の天気みたい、そう言えば今年は台風未だ来てません。右膝は徐々に快復傾向、雨で壁打ちもお休み。

 本日は先週読んだ本から、自分の中での今年の課題図書ならぬ課題作家である道尾秀介、処女作がなかなか手に入らず第2作「向日葵の咲かない夏」を先に読んでしまい(驚愕し)ましたが、第5回ホラーサスペンス大賞の特別賞受賞作を改稿したデビュー作をやっと読むことが出来ました。

背の眼 道尾秀介
 著者の分身たる主人公が神隠しの起こった山村で遭遇した怪異現象を旧友の"霊現象探求家"に相談、自殺者の背中に「眼」が写り込む心霊写真とも関連することが分かり、殺人事件も絡んでくる展開、処女作だけに描写がやや冗長ですが、ホラーであると同時に本格物にもなっているため、通常の謎解きに加えて、これは純然たる怪異現象なのか?論理で解体されるべきなのか?というメタな判断も必要となる趣向(二階堂黎人「人狼城の恐怖」第1部で似た体験をした記憶あり、勘違いでしたが(笑))、また幕切れにはしみじみ部分まであって盛り沢山、京極堂シリーズのエピゴーネン的内容となってはいますが、それを逆手に取ったヒネリまであって楽しめました。

 次は「骸の爪」「シャドウ」と進みます!

2010年6月19日土曜日

インバル&都響の豪快2番

 昨夜0-2から追い着いたアメリカ、結構スゴいっす。あとその裏だった「ハガネの女」、前の「警部補 矢部謙三」が本当に「トリック」の番宣だった?ため変な時期のスタートでしたが結構面白く、原作がよく出来ているのではと推察されます。

 昨夜からの雨は昼にはあがり、午後には少し晴れ間も出た夏日、午前の練習が中止になり練習は午後から、井の頭線沿いのアジサイはいつの間にか赤に青に紫にすっかり色付いてます。

 2時間だけプレーして抜けて、渋谷タワレコのインストアイベントへ。これについてはまた別記事で。

 夜はサントリーホールへ、マーラーばかり重なった"マーラー週間"の最後を飾るのはインバルの「復活」です。首都圏では今年既に何度か注目の「復活」公演がありましたが縁が無く、本年最初の2番となります。

6月19日(土) サントリーホール
 エリアフ・インバル指揮都響 マーラー Sym2番
インバルはいつもの様にアク強めの表現で、特にしゃくる様なアクセントの多用が印象的、テンポのオンオフも多めでフィルハーモニア管との時よりいじっている感じ、第1楽章半ば、派手に鳴り物が鳴った後の静寂から低弦が呟く様に歌い始めて終楽章を予告するディエス・イレ動機へと続く所をドスローテンポで始めてどんどん加速したのと、第3楽章で緩徐部的な所になるとぐっとテンポを落としたのが印象に残りました。オケでは矢部達哉率いるVnがインバルのクセのある表現に応えつつも美しく歌う、という難業を実現してました。インバルが退席した数分の休憩は楽譜と違って第2楽章の後、その間Pブロック最前列に独唱者が2列目以降に約80名の合唱が入場しました。終楽章前半ではTbソロが色っぽい音(これはたぶん賛否あるでしょう)、そしてクライマックスでは舞台裏のバンダ(Hr4、Tp4)が合流して何とTp10本にHr11本!特にそれまでのハイトーンをしっかりこなしていたTpの鳴りがよく、ラストの豪快な吹きっぷりは過去同曲の中でも屈指の貫通力、やや期待外れだった3番に比べ、かなり満足の演奏でした。

 ただ3番の時と同様、片方のティンパニの音程が悪いのが気になりました。大丈夫か?

2010年6月17日木曜日

アシュケナージ&N響の疾速6番

昨夜のスペイン、負けはいいとして、イニエスタの故障の度合が心配。

 今年2度目の真夏日、梅雨に入ってからいい感じの気温が続いてます。ただそのせいで今日から職場に冷房が入り始めたのにはがっかり。健康診断を機に減らした1kg、昨夜コンサート帰りに友人とラーメンを食べた割にはリバウンドしておらず一安心。

 夜はアシュケナージ&N響の6番、彼の振るマーラーはチェコフィルとの5番、7番等何度も聴いてますが感心したことがありません(ECユースオケとの2番は良かったけど、これも解釈じゃなくてオケの頑張りに、だったので)。今夜の6番はどうでしょう。

 昨日書いた様に本日のチケットは元々は昨日(16日)の公演を入手、ハーディング&スウェーデン放響と重なるためネット掲示板で17日公演と交換してくれる人を募れども(同様の人が多いのか)反応ゼロ、見かねた元のチケット所有者の方がご親切にも翌17日に振り替える手続きをして下さって、無事参戦となりました、有難いことです。

6月17日(木) サントリーホール
 ウラディーミル・アシュケナージ指揮N響 マーラー Sym6番
第1楽章はかなり速いテンポで駆け抜けて、そのテンポの割には疾走感やメリハリには乏しくオケも乱れがち、次はアンダンテと流行りの順、中間2楽章はやや速め程度のテンポで、粘るでもなくあっさりでもない中途半端な感じ、ただ普通のテンポで開始した終楽章に至り、表現にタメが出てきて「ここが本題か」と思わせました。ハープをかなり強く弾かせていたのと、弱音部でも各動機をかなり大きめに奏していたのが印象的、ただ行進曲に入るとまた速めのテンポでどんどん進行、木槌を使用して2度だったハンマー、1発目の後にオケがかなり乱れることも、Tpトップがそれ以降右手で自分で拍を取りながら吹いていたのが可笑しかったです。オケは弦がN響にしてはやや厚みに欠ける気はしましたが、9本揃えたHrが豪快な鳴りで他のブラスもまずまず、全体では分厚い響きが聴けました。

 開演の少し前、ホール入り口にVnのまろさんが人待ち顔で立っており、「今日は降り番か」と思っていたらしっかりコンマスやってました。

2010年6月16日水曜日

ハーディング&スウェーデン放響のドン・ファン、巨人

ブラジル予定通り白星発進! ただ(地上波放送が無かったので何とも言えませんが)北朝鮮に苦戦したっぽいのがやや不安、それより同組の他2チーム、ポルトガルがそこそこ強いのはいいとして、コートジボワールが想像よりずっと強い(同僚に言わせると「当たり前」らしい)こと、南アもそうですが、アフリカ勢に組織と戦術を整えられると厄介です。

 昨夜降り出した雨も昼前にはあがり、昨日以上の気温(あと0.3度で真夏日)と湿度の典型的梅雨の晴れ間、雲の感じも夏っぽくなり、最低気温が20度を超えたのも今年初めて。

 本日は大嫌いな職場の定期健康診断、血は抜かれるわ、放射線を浴びせられるわ(でも胃レントゲンは拒否)、採便を2度も強要されるわ(2日間余り食べてないため出ない…)と、いつも精神的ダメージによる弊害の方が大きい気がしますが、これを機に1kgのダイエットに成功! ただ身長が1cmも縮んだのはショック(涙)。

 今年はマーラーイヤーのせいか、同じ日に聴きたいマーラーが重なることが多い(2010/3/4など)のですが、今日はその最たるもの、ハーディング&スウェーデン放響の1番、インバル&都響の2番、アシュケナージ&N響の6番、と3つも重なってます。休日中心のアマオケならままあることですが、平日プロオケを3つもぶつけるのは勘弁して欲しいです。

 そして重なる日の方がチケットを入手しやすいのが道理で、実は上記3公演全て同じ16日を入手(大半はボケのせい…)、結局インバルは知人に譲り、アシュケナージは翌日へと振替手続きをして、ハーディングに参戦となりました。

6月16日(水) オペラシティ
 ダニエル・ハーディング指揮スウェーデン放響 モーツァルト ドン・ジョヴァンニ、R.シュトラウス ドン・ファン、マーラー Sym1番
 最初のモーツァルトではバルブの無いナチュラルTpを使用、連れによるとこの曲だけノンヴィヴラート奏法だったとのこと、次のRシュトラウス、オケはTp、Tbを右奥にまとめる対向配置、ハーディングはややゆっくり目のテンポをベースにいつもの滑らかな棒で微妙に揺らしつつロマンティックな表現、Hrが美しかったです。座席が1stVnがかぶるL側だったせいかもしれませんが、オケは弦がやや線が細い印象、木管はそれなりに堅実で、金管もなかなか、特にTpトップとHrトップは美音でした。
 後半はマーラー、R.シュトラウスでもそうでしたが、ハーディングは弱音をかなり抑える表現、そして細かい緩急の変化は勿論増加、第2楽章のアク強めの表現など、それなりにマーラーっぽさを演出してましたが極端なレベルでは無し、第3楽章冒頭の弦バスはソロではなくて全体で演奏する新全集版(来日オケでは初めて!)、終楽章のブラスもバランスを崩す一歩手前の鳴りでまずまずの迫力でした。アンコールは珍しくも「トリスタンとイゾルデ」"愛の死"、各動機を明確にしつつも情感豊かに歌い、特にラストは歌劇を5時間やった後の如き名残惜しさを感じさせる余韻嫋々、素晴らしい選曲でした。

 オペラシティの3階L2列は舞台左半分がブラインド、Hrや弦バス、チェロ、1stVnは見えず、ハーディングすら乗り出さないと見えない始末、よって第3楽章冒頭の弦バスが全員だったか一部だったか、Hrが起立したかどうか、補助のTp、Tbを使ったかどうか(Tbが大人しめに吹いているような音はしてた気が…)等々不明、コンマスだと思っていたらいつの間にか隣と交替してコンミスになっていた(たぶん)ことにも終わりまで気付かなかった位、ただTp,Tbはよく見えたので、終楽章中盤のミュート着脱の早業が必要なファンファーレでは、ミュート時最後の1音だけサボる、という新ワザ?を見ることが出来ました。

 終演後も熱気の残る夜の街はもう夏の夜の趣でした。明日はアシュケナージ&N響の6番です!

2010年6月4日金曜日

収束する不条理の夏 - 道尾秀介「向日葵の咲かない夏」

 今日もよく晴れて連日の夏日、週末もこれが続いて欲しいもの、ただ軽い夕立があり、気温が下がりました。

 今クールのドラマで個人的イチ押しはぶっちぎりで「トラブルマン」、期待していた「東京リトル・ラブ」はさすがにこま切れ過ぎて焦点定まらず、それを考慮したのか今週の放送は復習に終始してます。

 もっと期待外れなのは同じフジの「月の恋人」、3番煎じの主題歌といい内容といい、かなりつまらない方に属する感じ、とても今をときめく道尾秀介原作とは思えません、それでもリン・チーリンの美貌で見ちゃってますが。

 その道尾作品は自分の中では今年のテーマの一つ、ただどうしても処女作が古本で見つからず、我慢出来ずに事実上の出世作である第2作から読むことにしました。

向日葵の咲かない夏 道尾秀介
 ペットの連続惨殺事件と同級生の謎の死体消失に小学生の主人公が巻き込まれるのですが、すぐに不条理劇の如き展開になります。数々の不審な点や種々の伏線が一気に収束する終盤は凄いの一言、噂通りの傑作でした。これ以上ネタバレせずに書けそうに無いので以下はご注意下さい。
<< 本作および中西智明「消失!」、京極夏彦「姑獲鳥の夏」を未読の方は飛ばして下さい!! >>
 すぐ思い出したのは中西智明「消失!」、ただ普通の本格と思って読んでいたので見破りやすかった「消失!」と違い、本作はS君が蜘蛛に生まれ変わって喋り始めた時点で何でもあり?と思って思考停止、SFミステリーや「生ける屍の死」、そして西澤保彦の諸作の様にある特定のルールの下での論理、という見方が出来ることに気付きませんでした。また、1人称記述と3人称記述が交じっていたり、主人公の名前がミチオ(道尾)だったりする時点で本格作品における1人称記述問題がテーマであることに気付くべきで、実際著者は「姑獲鳥の夏」に影響を受けたそうです。

 「月の恋人」も最後にトンデモない仕掛けが待っていたりして。

2010年6月2日水曜日

サロネン&フィルハーモニア管の感動シベリウス2番

全仏オープン、シャラポワもキリレンコも負けてがっかりしていると、何とフェデラーまで! ま、TVで観られないからいいんですけど…。

 爽やかに晴れましたが相変わらず気温は平年より低め、未明の気温7度台は6月の値としては観測史上最低クラスです。

 夜はサロネン&フィルハーモニア管の第2夜、期待のシベ2を聴きました。ヒラリー・ハーンの影響か会場は一昨日と違いほぼ満員です(今日の方がチケット高いのに…)。

6月2日(水) サントリーホール
 エサ=ペッカ・サロネン指揮フィルハーモニア管 サロネン へリックス、チャイコフスキー Vn協奏曲、シベリウス Sym2番
 冒頭の自作は全体で大きなクレッシェンドを描く10分弱の大オーケストラ曲、現代曲にしては聴きやすいけれどメロディーを楽しめる程でも無い、といった印象。次のソリスト、ヒラリー・ハーンはあどけなさも微妙に残るクールビューティー、驚く位ゆったり弾いて独自の世界を展開、拍手に応えてアンコールを2曲も、しっとりしたイザイとバッハっぽいバッハ、前者はディエス・イレをあしらっていたので先日のパク・ヘユンのアンコールの一部だったかも。
 後半お目当てのシベリウス、一昨日もそうでしたがサロネンは緩急の差が激しく、パウゼが多めで長め、冒頭の低弦ピッツィカートをほぼ指揮せずやって驚かせた第2楽章など特に表現の振幅大きくスケール雄大、ここが白眉かと思っていたらさにあらず、終楽章では更にうねる表現、第3楽章から終楽章に移る部分および後半再現部に移る部分の尋常ならざる高揚感、コーダの金管コラール直前のケレン味たっぷりの弦のアクセントのカッコよさ、その後のコラールでの1度目は抑えて2度目に爆発する落差、そしてラスト1音の長さなどなど、最高の演出、Hrの重心の低い吹きっぷり、Tp,Tbの壮大な鳴りも一昨日以上で大満足でした。アンコールは勿論シベリウス、まず「ペレアスとメリザンド」から"メリザンドの死"を澄み切った悲痛さで、次に「カレリア」終曲をとても楽しく、更にもう1曲やる準備をしてました(たぶん悲しきワルツ)が、ここで終了。シベ2体験の数はそこそこレベルですが(年に1、2回位なのでトータル30回程度?)、過去同曲の中では間違いなく1、2を争う演奏でした。

 シベ2の最後の1音の余韻が完全に消えるまで、そしてメリザンドの死の音が消えてしばらく後にサロネンが緊張を解くまで拍手が始まらないなど、お行儀の良いお客さん達でした。隣に座っていた女性なんか、シベ2のクライマックスでは泣いてました。

 メリザンドの死でのしつこいppp表現から想像するに、秋のVPOとのマーラー9番はタイヘンなことになりそうな気がします。ま、入手は無理そうですが(笑)。