2011年3月21日月曜日

祈りと希いをこめた"復活" - ジェフリー・リンク&東京アマデウス管弦楽団 マーラー2番

 南茨城の放射線レベル、午後からまた平時の10倍~数10倍の数値に上がってます(涙)。

 ちょっと早い春分の日は雨、少しは原発にも降ってくれたでしょうか。1ミリ以上のちゃんとした雨が降ったのは何と2週間振り、春先にしては珍しいかも、深夜には10度以上あった気温は日中回復することなくほぼ7、8度台と肌寒い一日、午後アマオケへ、震災以降初めて都心へ出ます。

 アマオケを聴くのは大好き、ただ自分が演奏する側だった時は「こっちがお金払ってですら来て貰うのは申し訳ないのに、お金をいただくなんてトンデモナイ」という感覚でした、よって聴くための予算は限りなくゼロに近く、価格設定が強気のアマオケとは自然と縁遠くなります。

 今日聴いたのもそんなオケ、よって元々は全く予定の無かった公演だったんですが、この時節敢えて中止にせず被災地復興の祈りをこめて演奏し、収益は全額被災地へ寄付、更に義捐金も募るとの情報を得、その心意気を買って急遽参戦した次第。

 また、本来3月の最終週は次の3公演

・27日 都民響(かなり上手なアマオケ)のマーラー10番全曲
・29日 スダーン&首都圏8音大合同オケの展覧会の絵、ローマの松
・31日 バスケス&エル・システマ・ユースオケのサン=サーンス3番とショスタコ10番(重量プロ!)

が予定されており、この3連戦は個人的に上半期のハイライトと考えていた一大イベントでしたが、震災の影響で全て中止、何か淋しいなぁ、と思っていたのも足を運んだ理由の一つ。

 都心までの途中駅の暗さや新宿駅の人の少なさ(あくまで相対的に、ですが)にビックリしつつ、特別ダイヤ等の影響で30分待ちなどあって通常1時間半で着くところ2時間半掛かった新宿文化センター、防災上如何なる効果があるのか不明ですが、2階席は締め切りで1階席のみ使用、でもほぼ1階が満席になって見上げてみると2階に潜入?しているお客さんも。

 まず開演前に指揮者ジェフリー・リンク氏より「悲しい時にこそこの曲を」との口上、国外脱出する外人が周りにもウジャウジャいる中、この原発クライシスの時期に敢えて来日したんだとすれば天晴れの一言です。

3月21日(月・祝) 新宿文化センター
 ジェフリー・リンク指揮東京アマデウス管弦楽団 マーラー Sym2番
前述の理由により初めて聴くオケ、東大オケのOB中心に結成されたとのこと、3団体概算200人超の大合唱はオケの後方の雛壇、指揮者と一緒に入場のソリストはその最前列中央に位置、リンクのゆったり重厚骨太系の棒に応えるオケは弦が安定しており、管もまずまず、女性ティンパニストのキレのいい叩きっぷりが印象的。第1楽章後に休憩の代わりに音合わせ、終楽章"荒野の呼び声"のHrのハイトーンをTpで代用(ワルター&NYPでしたっけ)したのを実演で聴いたのは多分2度目、合唱は最初の出番は座ったまま、2度目の出番で立つスタイル、クライマックスではバンダも加わったブラスがそれなりに鳴り、オルガンも吼えてまずまず雄大でした。

2011年3月4日金曜日

シャイー&ゲヴァントハウスの劇的ブルックナー8番

昨日同様、風強く気温低めの冬晴れ、ただ寒さも強風も前日よりマシ、その代わり何故か宿舎の室温は昨日より下がって9度とまたも10度割れ(涙)。

 夜は急遽参戦が決まったシャイー&ゲヴァントハウス管、急に決まったのはチケット代が高騰し、入手を躊躇していたから、このコンビ最初の来日だった3年前(結局は中止(2008/1/17))は4000円だった最安席が、円高が進んだこの時節だと言うのに、何とその倍の8000円に設定されてます!

 その招聘元の姿勢に納得行かず、ボイコットだ!と息巻いてました。

 が、自分一人がそう言っても何の意味も無いし…、仕切り直しだった2年前の来日では、オケに火を点けたマーラー1番陽性のブルックナー4番、どちらも良かったし…、ゲヴァントハウス管のブルックナーと言えばブロムシュテットとの7番も最高だったし…、とあっさり志を枉げてヤフオク等で最安席を探索すること2か月、公演前日深夜12時半にようやくGETしたチケットです。

 会場のサントリー、貧民席は9割程度埋まってますが、S-Aなど高そうな席は6-7割の入り、やはり売れ残ったようです、強気の価格設定との関係は不明ですが。

3月4日(金) サントリーホール
 リッカルド・シャイー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管 ブルックナー Sym8番
オケは対向配置、右端にハープが3台! Hrは9本、うち持ち替えのワーグナーチューバ4本の隣にチューバ、4番の時もそうでしたが、シャイーのスタイルは宗教的な敬虔さとは反対で、よりロマンティックに、より劇的に、という感じ、個性的な強弱もしばしば、濃いめの表情付けで進行した第3楽章、シンバルの入るクライマックス後に弦が残る部分で1音1音見得を切りまくっていたのが特に印象的、オケは弦がさすがの均質な響き、ただ要所ではその音の肌理が荒れる程にシャイーが煽っていて、この老舗オケにここまでやらせるか、って点で凄かったです。ブラスはその弦を消さない8分程度の吹きっぷり、終楽章ではTpが時たま9分程度になってましたが、コーダではほぼ8分程度と弦管のバランス保持、それでもオケ全体では重厚なサウンドを満喫しました。

 シャイーは1-3楽章全て、最後の音が消えてからも数秒棒を上げたまま、なのに棒が下りる前に咳をどんどん始める人が方々にいて、「TV中継も入ってるのに、これじゃあ、終楽章も余韻が残るうちにブラボーや拍手が出ちゃうだろうな」と思っていたらさにあらず、最後だけはお行儀よく、(ほぼ、ですが)棒が下りてからの拍手喝采でした、久々だったかも。