2011年5月29日日曜日

やっぱり名手 - 恩田陸選「スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎003」

 昨夜、いや今朝のC.リーグ決勝、バルサには感動すら覚えました。スペインが欧州を、そして世界を制し、バルサが新たな伝説を作る時代に立ち合える幸せを天に感謝するのみです。クライフの頃はよく覚えていないので。

 ただ、今回バルサの試合を見られたのはこれが初めて、如何にフジの放送カード選定が犯罪行為的だったかを再認識。

 今朝のボケ老人:
その決勝後、「練習は中止だし寝直すか、とその前に一勝負」と始めたフリーセル、攻略不能番号#11982であることに気付かず、2時間も空しい努力を(涙)、しかも以前にも同じことやってます…。

 昨日に続き台風の影響で終日の雨、気温も昼過ぎまでの時点では18±1度と昨日より更に一定(←夜には16度台になりましたが、それでも日較差は2.8度)、朝から夕方までみっちり練習の予定だったのに当然キャンセル、最下位阪神の不甲斐無さを忘れさせてくれるロシア国立響のニューサウンド、ジロ第20ステージ、モナコGP予選、そしてC.リーグ決勝と続いた興奮が冷めやらず、地元に残って残務整理したりビデオを消化したりしてのんびり火照りを冷ました一日。

 実家の父は本好き、ただ今は短編しか読まないとのことなので、帰省する際はいつも短編集を持ち帰ります。本日は先週末のそんな帰省の途に読んだ本から。日本推理作家協会のアンソロジー収録作から更に特定編者がチョイスする作品集の第3弾、昨年同時期の帰省時にもそのシリーズを読んでます(その時の選者は東野圭吾)、今回の選者は恩田陸。

スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎003 恩田陸選
 選者のお薦めミステリー本がずらっと並ぶ巻末解説が楽しく、またそこで「本格寄りのチョイスになってしまった」との旨書いている割にはバラエティあるラインナップ、中でも短編の名手佐野洋による「死者の電話」のどうなってるの?って展開が印象に残りました。

 これから日本ダービー、そして夜はモナコGP、でもその前のNHKサンデースポーツも見逃せません(笑)。

2011年5月28日土曜日

ゴレンシュタイン&ロシア国立響のラフマニノフ、明瞭峻烈サウンドの衝撃

 昨夜のジロ第19ステージ、主役はまたまたコンタドール、2重の意味で凄かったです。

 今日のボケ老人: サントリー前で人と待ち合わせた時には持っていた傘、終演後ホールを出る時には失くなってました…。

 終日の雨、台風に刺激された梅雨前線、ってまだ5月なのに…、気温は終日18±2度と低め安定ながら寒い程でも無し、ほぼ丸2日間休まず冷やした左手の火傷はかなり快方へ、何と言っても両手でタイプ出来るのが楽だし、テニスも出来そう、とは言え午前のテニスは勿論中止、ゆったり朝寝し、一応冷却シートを貼っての外出。

 まず昼過ぎに学園祭に寄って後輩に差し入れし、サントリーへと出陣、聴いたのはロシア国立響、約20年振りの来日とのこと(←実際は14年振りらしいです)、残念ながら(いつでも聴けると思っていたら)スヴェトラーノフとのコンビを聴きそびれてしまったため、このオケの実演は初めて、なのでワクワク、勿論現在のシェフ、ゴレンシュタインが振る日を狙い撃ちです。

 また公演の殆どを西本女史が振るため、価格設定が西本シフト、つまりPブロックなど音が悪い(けど指揮者に近い)席が高く、2階後方など音がいい(けど指揮者から遠い)席が最安になっていて、普段座れない席で聴けるのも嬉しいところ。

5月28日(土) サントリーホール
 マルク・ゴレンシュタイン指揮ロシア国立響 グラズノフ ライモンダより、ショスタコーヴィチ チェロ協奏曲1番、ラフマニノフ Sym2番
 オケのメンバーは見るからに若く、スヴェトラ時代とかなり入れ替わっていることを伺わせます。最初のグラズノフは初めて聴く曲、のっけから弦を中心としたオケの統率の取れた響きに驚愕、木管も均質な響きで溶け合ってます。また驚きは金管、他とバランスを取った音量で、全くバリ吹きしません。ゴレンシュタインは曲想により棒の有無を使い分けますが、棒を持っていても手の動きが妙に細かくせわしない印象、続くショスタコでのソロは予定のクニャーゼフから変更になった(若手っぽい)アレクサンドル・ブズロフ、終楽章前の長ーいカデンツァに凄みがあり、アンコールにはバッハのしみじみ系を。
 そして後半ラフマニノフ、とにかく驚愕は弦セクション、そんなに音量や伸びがあるタイプではないのに、奏法込みで揃っているせいなのか、あらゆるパッセージが明瞭に聴こえ、ここでこんなことやっていたのか、と驚くことしばしば、と言うか、「じゃあ、これまで自分が聴いていた弦がダンゴになったりマスクされたりしていたサウンドは何だったの?」と言いたくなる位、特に第2楽章中間の水際立った迫力は初めての体験、終楽章でも弦はクリアーそのもの、解釈としては煽ったり粘ったりはぼちぼち程度、第3楽章など緩徐部では主旋律を抑えめにして対旋律を際立たせていたのが印象的、でもClソロは吹きにくそうでした。ブラスは最後まで抑えめでバランス重視、終楽章クライマックスのファンファーレ手前で少しTbがベタ吹きした以外はロシアンブラス度ゼロ、Tpなどシャープ系の吹き方、Hrなんてノンヴィヴラートで細く優雅に吹くスタイルで正反対(全強奏ではもっと吹いてほしかったところ)。アンコールはTpが増えて4人になり、もう一人パーカッションのあたりにも入った(ハープ?)ので、「どんな凄いのをやるのか」とワクワク、ところがゴレンシュタインの「震災の被災者に捧げる」とのアナウンスの後始まったのはしみじみラフマニノフ「ヴォカリーズ」、でも確かにTp、Tbやティンパニまで加わる独特な編曲でした。

 いやあ、疑い無く今年最大の衝撃でした。メロディアのLPで聴くスヴェトラ&ソヴィエト国立響とは全く別のサウンド、スヴェトラ時代を生で聴いている知人2名も「全く別モノ」と言っていました。

 ただ同じベクトルでスケールダウンだとがっかりですが、全く違うベクトルなのでOKでしょう。スヴェトラ時代(一部で勝手に)ゴスオケと呼ばれていた頃は「世界で1番デカイ音がする」と言われていたオケが、旧レニングラードフィルやモスクワ放響と比べても音量スケールは小さくなった代わり、(個々の上手さはともかく)均質性や統制の取れ具合では過去聴いたロシアオケの中でもNo1、その味を敢えて例えるなら、オケの各パートの均質さは東欧系の老舗、ドレスデンやゲヴァントハウスを思わせ、弦のクリアーさは、シモン・ボリバル・ユースオケを思い出す、といった感じ、とにかくビックリでした。

 ジロもあと僅か、今夜が7番目にして最後の頂上ゴール、その後はモナコGP予選、そして(今度こそホントに)C.リーグ決勝、と今夜は寝られません。

2011年5月21日土曜日

レック&東響の情熱系5番

 マーラー5番ハシゴの後半戦はレック&東響、震災により本拠地のミューザ川崎がボロボロになってしまった東響、ミューザ公演の多くを昭和音大のホールであるテアトロ・ジーリオ・ショウワで行っています。

 行ったことのないホールだけに最寄り駅(新百合ヶ丘)からの道が不安でしたが、要所に案内の女性を立たせる配慮によりストレートに現地到着、歌劇場っぽい作りの座席構成、ただ音響はややデッドな感じがしました。

 指揮するシュテファン・アントン・レックは「名前は見かけるなあ」という程度の認識で、風貌はもとより、どんな音楽をするかという認識もありません。

5月21日(土) 昭和音大 テアトロ・ジーリオ・ショウワ
 シュテファン・アントン・レック&東響 モーツァルト VnC3番、マーラー Sym5番
前半のソリストはシュロモ・ミンツ、かなり昔に聴いた時より音程があやしくなってる気はしましたが、拍手に応えてアンコールにバッハを、そして後半マーラー、初めて見るレックは一見学者風、でも実際はよくジャンプするわ、歌い声が3階席まで届くわと熱血系、数時間前に聴いたヴロンスキーと同じ重厚系の解釈ながら、対位法の強調と表現のアクはこっちが強め、棒を置いた第4楽章で後半止まりそうなテンポになったり、ラスト1音が史上最長クラスだっりしたのが印象的、Tpソロはぼちぼち、Hrソロのハミルは(いつも通り)上手いけど雑、オケはややリハ不足なのか全体的にレックの意図を表現しきれない感はありましたが、ラストは激しい追い込みに応えてまずまずの大団円でした。

 読響vs.東響の5番対決、指揮者の解釈はどちらも面白かったんですが、オケ全体の鳴りのよさと演奏精度ではやや読響に軍配が上がった印象、ただ鳴りに関してはホールの影響もあるかも。

 5番のハシゴ終了後は新宿に出て、夜行バスで実家の小松へと向かいました。バスが出る前、ジロのゾンコランステージが急遽コース短縮になっているのを知りビックリ!でも頂上ゴールまであと5km!って所で発車時刻が近付きWEB観戦を断念(涙)。

ヴロンスキー&読響の重厚5番

 何とか5番のハシゴ完了、これから夜行バスで実家へ帰るので記事のみにて。今夜のジロはゾンコランの登り、あとC.リーグ決勝もあるのにLIVEで観られないのが痛恨。

<続き>
 翌日石川の実家でこれを書いてます。4日連続していい感じの晴れ、最高気温は更に上がって真夏日に迫る勢い、午前中テニス、午後以降はコンサートといつもの休日の流れでした。

 この日は読響と東響、2つの在京メジャーによるマーラー5番の競演、しかも時間帯が違うのでハシゴも可でした。読響はマカルの原発による撤退でヴロンスキーという未知の指揮者、マカルの5番はチェコフィルとの来日公演で聴いてるので、個人的には指揮者変更で聴く気がUP、一方東響のレックも名前は聞くけど実演は未だ、とこちらも興味津々。

 ただ、どちらも前々日の時点でチケットは未入手、東響に至ってはミューザ川崎の震災崩壊の影響もあって公演の存在自体忘れていた程、ただこちらは公演前日に掲示板で無事安価入手に成功、一方読響の方はマカル降板で安価入手が容易になると思いきや、23日公演はまだしも、21日は苦戦して当日まで入手叶わず。

 ま、夕方の東響まで暇だし、とテニスもそこそこにオペラシティへ、読響は休憩後半額システムがあるので、状況次第ではそのパターンありかな、と。でも"当日券売り場前で物欲しそうな顔でウロウロしてお金持ちから譲って貰う作戦"で首尾良くS席をGET、5番ハシゴ作戦準備完了です。

5月21日(土) オペラシティ
 ペトル・ヴロンスキー&読響 モーツァルト PC24番、マーラー Sym5番
前半モーツァルトのソリストは清水和音、初めて見るヴロンスキーは銀髪でコワモテな印象、マーラー冒頭のTpソロは自由に始めさせ、オケが入る部分で初めて手を動かすスタイル、第1楽章は棒を使わず、かつ拍を余り取らずに曲想を巧みに両手で表現、遅めのテンポ基調に今時珍しい重厚長大系の音をオケから引き出していました。第2楽章以降は(第4楽章を除き)棒を手に取りましたが、ゆったり重厚系の表現は変わらず、第2楽章後には音合わせ、その間にHrソロが左脇奥に移動して起立、つまり新版の楽譜のよう、Tpソロ、Hrソロは共に見事、また終楽章で中低弦が効いていたのが印象的、全体にブラスの鳴りもよく、第1楽章と終楽章の頂点部のコラールはTp筆頭に同曲屈指の貫通力でした。

 パンフを読んで、第4楽章2小節目、いつも違和感を感じていた8分音符の(再現部と異なる)進行が、実はアルマによる音符の改竄だったことを知り、衝撃を受けるとともに、得心が行きました。"やるせない感じ"を出す非音階的進行はもう少し後の小節までとって置くべきだと常々思っていたので。

 その後、新百合に移動してレック&東響で5番を聴きましたが、それは、また次の記事で。

2011年5月7日土曜日

朝活オケ、激ウマTpソロの5番 - 小柳英之&モーニングフィルのマーラー5番

ううぅ、4たびの借金生活…。

 曇りの予報でしたが朝から雨、午前コンサート、午後テニス、と通常の休日の逆パターン、の筈でしたが午後のテニスは無理そう、結局ほぼ終日の雨、気温も朝は高めで昼低め、ともあれ早起きして都心へ。

 聴いたのはモーニングフィル、とその名の通り朝に公演をするアマオケ、マーラーを演奏したい人が集い、たった3-5回程度の合奏で本番を迎えるとのこと、見事だった旗揚げ公演の9番いま一つだった7番に続き皆勤となる3度目の参戦です。

 実は春に4番をやる予定だったらしいんですが、もともと弦楽器奏者不足により、参加費を管楽器は有料、弦楽器は無料、というシステムが基本、で4番は編成上経済的に苦しくなって(笑)順延になったそうです。

5月7日(土) 杉並公会堂
 小柳英之指揮モーニングフィルハーモニー管弦楽団 マーラー Sym5番
9番の時と違いオケは通常配置、冒頭の朗々としたTpソロが激ウマ、そのバカ上手Tpトップの率いるTp軍団(他の3人は女性!)の鳴りは豪快、粒の揃った6本のHrが轟然と吼え、のっけから壮大な音場、これは凄いことになるかも、と思わせましたが、木管や弦はぼちぼち程度で、トータルでは7番以上9番以下、といった印象、Hrソロは美音でまずまず、最後はブラス中心にしっかり盛り上がりました。指揮の小柳氏(パンフ・チラシ等一切無いので推定)は1箇所、終楽章クライマックスのコラールの後テンポが急に速くなる部分で、途中で急に音量を下げてからクレッシェンドするという奇妙なことをやってました。

 5番の冒頭、Tpソロに続くオケの全強奏の部分は、いい演奏だと想像を遥かに凌駕する巨大な"音の壁"が眼前に立ち上がる気がするものですが、久々にその感覚を味わいました。

 午後はやはり雨でテニス出来ず暇に、まっすぐ帰るのも何なので、新宿タワレコのインストアイベントへ、聴いたのはAira Mitsukiさん、ジャンルはテクノポップとのこと、それなりに知名度があるのか早めに会場入りしたのに50人以上の聴衆(ほぼ男)が前に陣取ってます。

 最初にシンセサイザーを自ら操作してテクノっぽい曲を、続いてバックダンサー2名を従えて普通のポップスっぽい曲を2曲、でその後者の曲になるや目前の大集団の8-9割が決められた振りらしきものを一斉に始め、少し恐くなったので早々に退散、どうせ遠めでよく見えなかったし。

 夕方茨城に戻ると、こっちは都心よりは雨が少なかった感じ、夜には雲の切れ目から三日月が拝めました。

 明日は学生オケによるラフマニノフです!

2011年5月4日水曜日

3連発! - 南部やすかさん(Fl)と堀沙也香さん(Vc)のデュオ、CANDY弦楽四重奏団、シャニ・ディリュカさんのPf

祝!'85年を髣髴とさせる阪神クリーンアップ3連発!! 昨夜は嬉しくて民放5社のスポーツニュースを全てハシゴしてしまいました。

 今夕はコンパで遅くなるので記事のみにて。その前にまた丸の内でラ・フォル・ジュルネの無料イベントを冷やかしてくる予定。

<続き>
 翌日に続きを書いてます。この日は爽やかな晴天で気温も最高22度とやや高め、夕方に青山でテニス、夜に上野でコンパがあり、帰りは深夜でした。

 日中は暇だったので、早めに上京し丸の内のラ・フォル・ジュルネへ、無料イベントを1つか2つ、と思っていたのですが、阪神3連発を祝して、3公演ハシゴすることに、ちょっと忙しかったです。

 まずは丸の内ブリックスクエア前の広場へ、聴いたのは南部やすかさん(Fl)と堀沙也香さん(Vc)のデュオ、緑豊かな中庭でPAも使わない生の音を春の風に吹かれながら楽しむ、という音楽祭に相応しい環境で、チャルダーシュに始まり、バッハ、ヴィラ=ロボスからニュー・シネマ・パラダイスなど映画音楽まで、粒だった音のFlと優しい音のチェロを満喫しました。

 続く2発目には行幸地下イベントスペース、という場所へ、何のことはないただの地下通路、そのせいかここもPAを使用せずいい感じ、聴いたのはCANDY弦楽四重奏団という、国立音大の在学生・卒業生で構成されるカルテット、個人的イチ押しはチェロ、ボロディンをメインに映画音楽なども交え、シメはこのところ(マスコミの操作により)震災復興のテーマ曲となりつつある「見上げてごらん夜の星を」をしみじみと、因みに1発目に聴いたデュオとサウンド・オブ・ミュージックとチャルダーシュがカブってました。

 そして3発目は丸ビル1階マルキューブ、ここはPA使用デフォなのが残念、屋外ですら使わなくてOKだったので主催者は生の音の力をもっと信じて欲しいところ、聴いたのはシャニ・ディリュカさんのピアノ、リストの華やかな曲とブラームス最晩年の小曲をとても振幅の大きい表現で弾いてくれました。