2011年6月28日火曜日

泡妻流始祖礼賛 - 泡坂妻夫「猫女」


 ちょっとビックリのニュース: 88歳鈴木清順監督、48歳年下の女性と結婚
尊敬の眼差し…。

 よく晴れて気温も軽く30度を突破、湿度もあって素敵な日和(自分は体感温度、と言うか不快指数が高い方が快適なので)、昼休みの壁打ちに加え、同僚とのアフター5週イチテニスも通常の水曜から今日に変えてもらい梅雨の晴れ間を満喫。

 ここひと月4作品を再読or初読してきた2年遅れの泡坂妻夫追悼企画も「迷蝶の島」を読めば初期作制覇となってひと区切り、と思ったんですが、買った記憶はあり文庫カバーデザインまで覚えているのに何故か「迷蝶の島」が手元に見当たらず、しょうがないので買い置きしてあった中期?の本作を手に取ることに。

猫女 泡坂妻夫
 陶芸の世界を舞台に反目する両家の間で起きる怪死事件が化け猫伝説と絡みつつも軽妙な筆致で展開、不可能犯罪的要素もあり、かつ古典へのオマージュ的側面も(下のネタバレの項参照)、そして伏線の妙は相変わらず。
<< 以下ややネタバレに付き未読の方は飛ばして下さい!! >>
 始祖ポーの「黒猫」「モルグ街」への泡妻流のオマージュと感じました。

2011年6月26日日曜日

30回記念は骨太10番 - 高橋勇太&ル スコアール管

 阪神遂にAクラス復帰!この調子でオールスターまでに借金返済と行きたいところ。

 ただ昨夜はスポーツニュースをハシゴして疲れたのか、裏でウィンブルドンを録画しつつ、F1予選、江古田ちゃんスペシャル、リベルタドーレス杯と進む予定だったのにF1でダウンし意識不明に(涙)。

 朝からの曇り、昨日下がった気温がそのまま維持され最高21度台と低め、早起きして午前中テニス、午後アマオケ、と典型的休日。

 午後聴いたのは大曲志向なのでよく行くオケで、30回記念のコンサートに採り上げたのはマーラー10番のクック全曲版、10番は終楽章が大好きなので機会があればなるべく聴く様にしてはいますが、第2、第4楽章は未だ自分の中で消化し切れず、実はよく退屈します。

6月26日(日) すみだトリフォニー
 高橋勇太指揮ル スコアール管弦楽団 ワーグナー "パルジファル"第1幕前奏曲、バルトーク Vla協奏曲、マーラー Sym10番 <クック版>
 最初のワーグナーではブラスのコラールがまずまずの響き、続くバルトークでのソリストは元N響の川崎和憲、そして後半は第1楽章後に再度音合わせしていたお目当て10番、チューバおよびHr、Tp、Tb各トップがなかなかの音色でブラス全体もまずまずの鳴り、消防士の太鼓も迫力ある叩きっぷり、弦も終楽章ではよく鳴ってました。第3楽章以降、後半の3つの楽章に統一感があり、特に第4楽章は骨太でシンフォニックな表現で珍しく退屈しませんでした。

 両端楽章のクライマックスでオケが全強奏で絶叫する部分で突出するTpの悲痛なハイトーン、これがA音でアルマを表している、ってことをパンフを読んで初めて知りました。

2011年6月22日水曜日

ハーディング&新日のまろやか5番

 フジ「マルモのおきて」で1番の役者は犬のムックかも(要求された動き以外はしないので)、と感心していたら、そのムックが調教されたタレント犬じゃなくて一般のペットだと今朝のTVで紹介していて驚き! ま、調教されてはいるらしいですが。「犬を飼うということ」のスカイもプロの役者犬じゃなくてシロウト犬かも、こっちはそう言われると納得ですが。

 ドラマついでに言うと、今クールの個人的イチオシはぶっちぎりで「鈴木先生」、たぶん原作が凄いんでしょうけれど、キャスティングも素晴らしいです。

 朝から青空、気温もどんどん上昇して昼前には30度超、今年初の真夏日です! 初めて("夏っぽい"じゃなくて)"夏"と言える空気感と陽射しの力強さを感じます。

 夜はハーディング月間の第3弾、新日とのマーラー5番、本来は震災当日(3月11日)にあったこの公演、チケットを保有すれど交通機関ストップにより参戦叶わず、当夜公演が敢行されたと聞き諦めていましたが、今週に代替公演が行われることになり、11日の公演に対しても事務局が快く振替チケットを送ってくれました、感謝感謝です。

 ハーディングの振る5番は4年前ロンドン響で聴いてますが、その時は今一つでした、今回はどうでしょう。取り敢えず記事のみ作成、続きはまた明日。

<続き>
 戻りました。マーラーチェンバーオケとの4番はあんなにトンガッていたのに、今夜の5番はソフト&マイルドでビックリでした。

 結局今日の最高気温は33.5度、夏至に相応しい素晴らしい日でした。近所のスーパーや錦糸町へ向かう際の電車など「ふざけてんのか」ってくらい冷房が強くて閉口しましたが、トリフォニー内の冷房はかなり弱めで素敵でした、他の人には暑かったでしょうけど(笑)。

6月22日(水) すみだトリフォニー
 ダニエル・ハーディング指揮新日フィル エルガー "エニグマ"よりニムロッド、マーラー Sym5番
オケは対向配置、ただ先日のブルックナーと違ってHrとHpは左側、本来前プロにあったパルジファル前奏曲が無くなっていてガッカリ、その代わり、ではないんですが、最初に震災被災者への追悼を込め拍手禁止でニムロッド、穏やかな表現で最後の1音を終えた後、ハーディングは30秒程黙祷を捧げていました。休憩無しでマーラーに突入、冒頭、自由に吹いていいスタイルで開始したTpソロは柔らかな音色と吹きっぷり、続くオケの全強奏もマイルドでおどろおどろしさは皆無、全曲通してこの柔らかサウンドが基調、第4楽章以外はテンポは遅めで、ブルックナーの時と同様、弦主体の音作り、歌わせるけれど余り粘らずアクも少なめ、弦はエッジを効かせてましたが、木管・金管共にソフトに吹かせ、かつ弦を消さない程度に音量も抑えめ、要所で鳴り物を強調し、6本のHrは時に豪快でしたが、Tp,Tb共に最後まで8分程度の吹きっぷりで、かつ明らかに楽譜よりレガートに吹かせている部分も、あと誰もが強調する第3楽章中間でのヴィオラのピッツィカートを余り強調しなかった点が個性的、オケは高音弦がよく鳴り、Hrソロはそれなり、そしてTbトップの美音が印象的でした。

 ブラスが爆発しないので好みの表現ではありませんでしたが、それなりに筋の通った統一感ある演奏ではありました。

2011年6月16日木曜日

ハーディング&新日のブルックナー8番

 ひと月振りの4位浮上! とは言えダルを打ち崩した訳じゃなく貧打は相変わらず、なので微妙なところ。

 昨夜は2時前に一旦就寝、3時半に起きて月食を見ようと4時過ぎまで時折外を眺めてみましたが、雲が多くてそれらしきものは見えず、間もなく夜空が白み始めてアウト、サロメの赤い月は拝めませんでした。

 お天気は曇り、ただ昼前から陽も射してきて予報に反し気温も上昇中、と思っていたら昼休み直前に一雨来てまた気温降下、これじゃ壁打ちも出来ないのでこれ書いてます。

 さっき職場の(私見では10害あって1利しかない)定期健診を終えてきたところ、1年で1番憂鬱な日が終わってほっと一息。

 夕方はハーディング月間の第2弾、ブルックナーの8番です。ただ場所は遠方の多摩、と言うのも同じ演目が都心で2公演あるのに強気の価格設定(全席5,000円以上)だったのが祟ったかS,A席を一律1000円で直前販売、これなら電車賃込みでもペイすると思っての急遽参戦、当然帰りが遅くなるので感想はまた明日。

<続き>
 ただでさえ混む夕方下りの京王線が、人身事故の影響で準特急や急行が間引き運転かつ車両数も減らした影響ですし詰め、新宿から多摩センターまで普段より掛かって1時間弱、調布から相模原線に入って数駅もすると「ここが東京か」という景色が広がります。

 多摩センター駅前に広がる巨大なショッピングモールを抜ける堂々とした坂を上ると会場のパルテノン多摩に突き当たります。ここに来るのは上手なアマオケでマーラーを聴いて以来5年振り。

 当日引き換えだった1000円席は前後も左右も真ん中のS席、有難うございました!

6月16日(木) パルテノン多摩
 ダニエル・ハーディング指揮新日フィル ブルックナー Sym8番
オケは対向配置、弦バスが左奥で3本のハープと8本のHr(うち4本ワーグナーチューバ持ち替え)は右奥、第1、2楽章をほぼ続けて演奏したハーディング、時折個性的な強弱やテンポ操作を交えつつ、基本は弦のパッセージを明瞭にしたシャープな音作り、ブラスはそれをかき消さない8分程度の吹きっぷり、弦はそれに応えてやや重心高めの響きながらよく鳴ってました。拍を余り振らない指揮のせいか、時にかなり乱れた部分はありましたが、明日以降は修正されるでしょう。いつもながらHrトップの美音は出色。

 例によってラスト1音の余韻が残っているうちに拍手を始める人がいて、それが全体に伝播、そうなってしまった後ハーディングはやや残念そうに?ゆっくり棒を下ろしていました。

2011年6月12日日曜日

梅雨吹き飛ばす重厚ブラスのチャイコフスキー - 十束尚宏&フィルハーモニア・エテルナのチャイコフスキー6番

ほぼ終日の曇りで気温はやや高めの夏日、早起きして東京に出て午前練習、午後コンサート、と典型的休日、先週は薄緑だったアジサイの花が青や赤に色付いています。

 午後聴いたアマオケのメインはチャイコフスキー、自分の守備範囲の端の方ながら参戦することにしたのは、まず上手なオケであること、そして会場がトリフォニーのため、手持ちの震災当日のハーディング&新日のチケットを払戻しor振替の手続きを新日のチケットボックスでやって貰えるかな、と思ったから。 

6月12日(日) すみだトリフォニー
 十束尚宏指揮フィルハーモニア・エテルナ メンデルスゾーン 真夏の夜の夢、十束尚宏 間奏曲、ある物語によせて、チャイコフスキー Sym6番
 最初のメンデルスゾーンは5曲抜粋30分とたっぷり、美音のHrソロとチューバに存在感、続いて指揮者の自作が2曲、最初は作曲中のオペラの間奏曲でロマン的な映画音楽風、次はソナタ形式の交響詩で響きが少しモダンになり、編成も大きくなっておどろおどろしい感じ。後半チャイコは弦管共に充実した演奏、金管、特にTbの重心低くソリッドな響きが見事、第3楽章後に起きがちな拍手(この日も約1名)を想定してか、休まず終楽章に突入してました。アンコールは無し。

 ただ、新日のチケットボックスは日曜がお休み、目的その2に関しては無駄足でした(涙)、電話代ケチったのがいけなかったか…。

2011年6月11日土曜日

ウルバンスキ&東響のショスタコーヴィチ10番

 朝からの雨、気温は平年前後で日較差小さめ、午前は楽しい系、午後は真面目系のテニス、の予定がどちらも中止(涙)、午後は雨上がったのに…。

 重いテニス道具持って朝っぱらから都心に出たのにド暇になり、100円で無線LANの入るマックで粘って映画などダウンロードして過ごしました。

 夕方はコンサート、時折お世話になる知人から招待されたS席は1階の舞台から3列目のVn側、音のバランスは今一つですが、ソリストは目の前です。

 また指揮するウルバンスキは100%未知の指揮者、若手なので激しいショスタコを期待。

6月11日(土) サントリーホール
 クシシュトフ・ウルバンスキ指揮東響 ルトスワフスキ 小組曲、シマノフスキ Vn協奏曲2番、ショスタコーヴィチ Sym10番
 まだ20代のウルバンスキは見るからに若者、って感じ、最初のルトスワは彼のお国もの?唯一知ってる「管弦楽のための協奏曲」に比べると明るく楽しい感じの曲で、コープランドっぽい曲調も。続くシマノフスキのソリストは諏訪内晶子、久々に間近に見ると初めて拝見した頃に比べて随分貫禄が出てきました。アンコールにはバッハのしみじみ系の曲を。
 後半のお目当てショスタコでは、1-2楽章、そして第3-4楽章を続けて演奏(前者は珍しいかも)、ウルバンスキの棒は基本オーソドックスでシンプルかつ細かめ、ただ棒の表情より顔の表情で音作りをしていた感あり、また第2楽章など時々身体をくねらせて踊っていることも(笑)。要所でのピッツィカートの強調が印象的ながら全体的に表現はすっきり系で大人しめ、第1楽章頂点でのハミル率いるHrの鳴りはまずまずでしたが、個人的にはブラスをもっと鳴らして欲しかったところ。

 コンサート後は池袋に出てコンパに合流、それを途中で抜け出しギリギリ間に合った終電、隣席は半睡している様子の妙齢女性、やはり宴会帰りだったのか終点近くになって突然の嘔吐、幸い、ご自身の肩掛けバッグの中に放出した模様で実害は無く、敢えて言えば漂う酸っぱい臭いだけでした(笑)。

2011年6月7日火曜日

ハーディング&MCOの自由闊達4番

 はぁ…、今シーズン、終わるの、早かった…。

 ほぼ終日の曇り、気温はやや高めでギリギリ夏日に到達、職場に新しい液晶ディスプレイが届いてちょっとウキウキ。

 左手の火傷はまだちょっと油断すると水ぶくれが復活する状態ながら、土曜にやった突き指は腫れがかなりひいて曲げられるようになってます。

 大震災の当日に何とマーラー5番を指揮したハーディング、今月また来日してひと月たっぷりの活動、さしずめ6月はハーディング月間の趣、その手始めがマーラー・チェンバー・オーケストラ(MCO)との各種公演、その中で唯一食指の動くマーラー4番を聴いてきました。

 とは言っても自分がTb出身のせいか、ブラスが活躍する曲しか興味無く、マーラー好きと言えども編成の小さい4番は余り感心無し、また大地の歌に至っては歌曲だと思っているため実演で聴いたことすらありません。

 よって4番もプロで(つまりお金を出して)聴いたのはたったの3度、しかもうち2度はソリストを見に行った(森麻季幸田浩子)恰好でした。

 ただ5年前ルツェルン祝祭管の驚異の巧さを耳にして以来、その母体であるMCOも機会があれば、と思っており、ただ室内管の4番に最安5,000円は高くてちょっと、と様子見してました。

 で直前になってネット上の相場が定価の6-7割程度と許容範囲に到達、公演前日に入手しての参戦となった次第。

6月7日(火) オーチャードホール
 ハーディング指揮マーラー・チェンバー・オーケストラ マーラー 花の章、子供の不思議な角笛、Sym4番
 オケは弦バスが左端に来る対向配置、最初から何故かソプラノもハーディングと一緒に登場、花の章から拍手の間を入れず不思議な角笛へと進む趣向、花の章の振幅大きな表現、Hrの繊細な吹きっぷり、黒い楽器を手にしたFlソロの大胆な吹きっぷりなどが印象的、ソリストは細身のクールビューティー系モイツァ・エルトマン、黒いドレスの胸元がセクシーでした。
 逆に後半の4番ではソリストは途中から(第2楽章後)登場、ハーディングは静と動、明と暗の対比くっきりの音作り、あと木管の合いの手などしゃくる部分を殊更に強調、中でもClの大胆な吹きっぷりが出色、弦はさすがに統一感ある響き、その美点満開の第3楽章は余り粘らない表現ながらしみじみ感あり、またフレーズ内のポルタメントは弱めな割にフレーズ開始時のグリッサンドを強調していた点、そして唐突に爆発するコーダでのHrの豪快な吹きっぷりが印象的でした。

 最後の音が消えた後もハーディングは手を挙げたまま、その約8秒後に約1名ブラボーの声が掛かったんですが周りから叱責の声(笑)、結局指揮の緊張を解いたのは約25秒後、ところがその直前に盛大にお腹が鳴ってしまいました(涙)、済みません、それを防ぐため、開演前に食パン2枚食べたのに…。

 あと、TbやTubaは終始不参加でしたが、4番は当然として、花の章や歌曲もそんな編成だったかしらん。

 プログラムによれば来週末にMCOとPACオケとの合同演奏でマーラーの3番をやるとのこと、それを聴ける関西の人が羨ましいです。