2012年11月29日木曜日

東西ミステリーベスト100平成版

 昨夜帰る時、頭上にはかなり円くなったお月さんと木星が二人並んで輝いてました。そのせいか朝は冷え込み-1.4度と連日のマイナス、薄曇の日中は最高12度台と今日も低め。

 一昨日の帰り道、そろそろ今年の「このミス」出てるかな?と本屋に寄ったところ、「このミス」は発見出来ず、その代わり「東西ミステリーベスト100」の21世紀版がブックレットとして刊行されていてビックリ!即買いました。

 この文春の「東西ミステリーベスト100」、前回80年代に出た時は、本格物、しかも海外作品しか読まなかった自分にとって、他のジャンルや国内作品に手を広げる際の指針となりバイブルともなった文庫本でした。

 また当時海外では廃れてしまっていたガチガチの本格を、日本人が書き続けている(泡坂妻夫、連城三紀彦、島田荘司、笠井潔など)ことを知った本でもありました。

 あれから30年近く経った今、顔ぶれはどう変わっているんでしょうか。

東西ミステリーベスト100 2012年版
 大規模アンケートを元に選出した東西ミステリーの上位各100作品をあらすじと薀蓄を交えて紹介するブックレット、ます国内では、「占星術殺人事件」の3位躍進、「十角館の殺人」のトップ10入閣が嬉しく、笠井潔「バイバイ、エンジェル」、赤川次郎「マリオネットの罠」の落選は残念、「容疑者xの献身」(13位)の高評価が驚きで(「生ける屍の死」(15位)より上!)、「葉桜の季節に君を想うということ」36位、「首無の如き祟るもの」62位、「七回死んだ男」70位、「煙か土か食い物」72位、「アヒルと鴨のコインロッカー」73位、「イニシエーション・ラブ」74位のランクインが嬉しいところ。
 海外では「Yの悲劇」(2位)が「そして誰もいなくなった」(1位)の軍門に下ったのが残念、でも「九尾の猫」がランクイン(78位)したからいいか。あと「ミレニアム」3部作(13位)の評価の高さにはビックリ!年内一気に読むことにします。「ジェゼベルの死」のランクアップ(24位)は嬉しく、「ジャンピング・ジェニイ」49位、「チャイルド44」56位、「荊の城」82位、「半身」88位、「犬の力」87位あたりの高評価がやや驚き、そしてニコラス・ブレイク「野獣死すべし」が落ちたのと、ヘレン・マクロイが入っていない(「暗い鏡の中に」とか…)のが残念。

 信奉者として知らなかったのは恥ずかしいんですが、最大のサプライズは50位以内のクイーン作品4作「Xの悲劇」(14位)「Yの悲劇」(2位)「ギリシャ棺の謎」(23位)「エジプト十字架の謎」(42位)全て同一年、1932年の刊行であったことです(薀蓄の項に書かれました)。

<追記>
 人の感想を読んで気付いたんですが、法月綸太郎が1作もランクインしてないとのこと、ショックです…。

2012年11月25日日曜日

激烈ブラス(とティンパニ)のコダーイ、シベリウス - 上原宏&武蔵野市民響

 がーん、昨夜コンサート2連荘から戻ると、留守録してくれている筈のバレンボイム&VPOのライブ(牧神と海)、電源は入ってるのにDATが動いてません(涙)。

 以前はこういった留守録失敗はまれ、かつ失敗しても原因は(1例を除き)明確に判明したんですが、ボケが進行したここ1-2年、タイマーセットはしたけれど電源は落とし忘れた、等々アホレベルのミス頻発、今や原因究明する気も起きず(涙)、人として壊れつつあります。

 冬晴れ、朝は冷え込んで-1.6度と、今季初のマイナス気温、昨日ハードスケジュールをこなした割には風邪はよくなってます。

 午前中は教え子の応援、よりも後輩の学園祭を優先し、駒場へ陣中見舞い、学園祭3日目にしてやっと快晴になりよかったですが、気温は最高11度台で日陰だと寒い感じ。

 午後はアマオケでコダーイ、同時間帯には上手なアマオケのマーラー5番が渋谷であったんですが、そのオケ、最安席が何と2000円!(都響よりも高い!) 有料のマーラーより無料のコダーイ、ってことで三鷹へ。

 中学以来の大好物である中プロの「ハーリ・ヤーノシュ」は勿論、前プロもメインも全て好きな曲、と言うのも割と少ないかも、特に最初のマイスタージンガー第1幕前奏、入学式で大学オケが演奏した時の印象が悪かったせいでしばらくは好きな曲ではなかったんですが、その後トスカニーニ&NBCの引き締まった演奏で評価が一変し、更に80年代のバイロイトFM中継、ホルスト・シュタインの棒の下、ブラスが吼えまくり、弦が唸りまくりでむせ返るような熱気のある演奏を聴いて以降、俄然好きな曲に、ただ実演ではラストに向け前半は抑える演奏が多く物足りないことがしばしば。

 第77回定期、ってことでかなり歴史のあるオケながら聴くのは初めて、会場の武蔵野市民会館も久し振り、三鷹駅からホールに向かう小路、通称文化会館通りの駅側が少し様変わりしていて降りる駅を間違えたかと思いました。

11月25日(日) 武蔵野市民文化会館
 上原宏指揮武蔵野市民交響楽団 ワーグナー マイスタージンガー、コダーイ ハーリ・ヤーノシュ、シベリウス Sym2番
 マイスタージンガーは冒頭からブラスがんがん、特にチューバが存在感、Vnも負けずに鳴っており、徹頭徹尾暑苦しい演奏を聴けるのは久し振り。続くハーリ・ヤーノシュも第1曲からTpが激しい吹きっぷり、終曲でも3本のコルネットが加わって6本になったTpが朗々と鳴り渡り、負けじとパーカッションも激しい打ち込み、指揮の上原氏は第1楽章の長ーいパウゼや、第4曲のタイミングの早いアッチェレなど個性的、この破天荒な曲の奔放な演奏は人生で2、3度目かも。
 後半シベリウスでもブラスの鳴りは衰え知らず、更に第2楽章中盤ブラスの頂点ではティンパニがそれをかき消すほどの全力ロール、終楽章でもTp、Tbは盛大に鳴り響き、最後のコラールの鳴りっぷりは過去アマオケの同曲では最高にして、1stTbに限ればプロを含めても最強の鳴り、感動しました。アンコールはこのオケのもう一つの美点であるVnの清冽な響きを活かし、定番のアンダンテ・フェスティーヴォ、ラストでまたまたティンパニが全力ロール、この曲でティンパニが全力で叩くなんて前代未聞なのでは(笑)。

2012年11月24日土曜日

朝活オケ、夜のリベンジ7番 - 金山隆夫&モーニングフィルのマーラー7番

 音大フェスで3大学の公演をたっぷり聴いた後は、葛飾に移動してモーニングフィル、その名に反し夜公演、しかも開演は遅めの夜8時です。

 久々のかつしかシンフォニーヒルズ、行き方を忘れてしまいましたが、最寄が京成の青砥、ってことは何となく記憶にあり、乗り換え案内を見れば日暮里乗換えで池袋から3-40分と意外に近く、ならば夜7時に池袋駅の改札を通れば余裕、の筈が地震の影響で京成線が乱れ、日暮里駅で待ちぼうけ、遅れるかと思いました。

 一昨年に9番で旗揚げしたこの朝活オケ、第2回公演が7番で、その時はやや不満の残る出来、今回は2年越しのリベンジ、指揮者もよりプロっぽい方になってます。

 ポスター・チラシなどの案内は元より無いのですが、ここ数回はメンバー表の紙1枚は配っていた気がしたのに今回はそれも無かった感じ、あと会場がいつもと違うせいか、徐々に増えつつあったお客さんの数がまた減少、演奏者より少なかったかも。

11月24日(土) かつしかシンフォニーヒルズ
 金山隆夫指揮モーニングフィルハーモニー管弦楽団 マーラー Sym7番
このオケとの公式戦は初めての金山氏は遅めで丁寧な音作り、今一つ調子の上がらなかったユーホソロは専業、Tp3本、Hr4本とアシ無し最少本数、美音のTpトップは首都圏のマーラーではよく見かけるお顔で、最後まで疲れを見せず吹き切っていて見事、第3楽章後に音合わせをする間に左袖にギターとマンドリンが入場、弦にやや不安定感はありましたが、音楽の方向性がしっかりして、前回よりまとまりがあった気がします。

 このオケ、次回は初めてマーラー以外の曲をやる(2管部門は除く)らしく、来年のGWに「英雄の生涯」と「ローマの松」をやるそう、楽しみです。

 あと同種企画として"ブルックナーフィル"ってのも始めたらしく、もう10月13日に第1回演奏会でブルックナーの8番をやったとのこと、気付かず逃してしまい残念。

地震に負けない幻想Sym - 秋山和慶&洗足音大管

 音大フェスでの音大オケ3大学一気公演、トリは洗足音大、指揮の秋山和慶は学生に対してはプロを振る時より煽るので楽しみです。

11月24日(土) 芸術劇場
 秋山和慶指揮洗足音大管弦楽団 ベルリオーズ 幻想Sym
冒頭は武蔵野音大によるファンファーレ、Tp3,Tb3,Hr5と大きめの編成でポップス調、Hrトップが達者でした。続いて洗足音大によるベルリオーズ、この日初めてブラス陣の半分が男性に、第3楽章の草笛は舞台裏左手、終楽章の鐘は舞台裏右手、秋山氏の棒は振幅大きめ、第3楽章途中で震度4の地震発生!ホール全体が揺れ、小さく悲鳴も起きる中、いったん止まりそうになりつつも続行し、そこからの中盤の盛り上がりは「地震何するものぞ!」と感じさせる激しい表現、雷鳴はティンパニ4台を4人で叩いていたのが印象的、4、5楽章ではTbや2本のチューバを筆頭にブラスは本日1番の大迫力、弦もキレよく、かなり煽っての大団円は本日の白眉でした。

 3公演トータル約3時間半、体調不良ゆえか時々意識を失いながらも音楽に身を任せるうち、風邪で失われていた食欲が少し回復、終演後は連れと油そばを経由し、単身次のコンサートへ、マーラーばかり演奏する朝活オケによる深夜公演、マーラー7番です。これに関してはまた次の記事で。

大勝秀也&昭和音大管の三角帽子

 この日の音大フェスは3大学と盛り沢山、武蔵野音大に続くは昭和音大です。

11月24日(土) 芸術劇場
 大勝秀也指揮昭和音大管弦楽団 ファリャ 三角帽子
冒頭は洗足音大によるファンファーレ、Tp4,Tb3,Hr4,Tuba1と大編成で派手なものでした。続いて昭和音大によるファリャ、何とTpとHrが全員女性!特にHrがソロが美しく全体でも鳴ってました。三角帽子の全曲版を聴くのは初めて、手拍子があったりメゾ・ソプラノ独唱がが交じったりの40分、それなりにまとまった演奏と感じました。

 続いてトリは洗足音大、それはまた次の記事で。

北原幸男&武蔵野音大管のショスタコーヴィチ5番

 寒かった昨日、外出して足先がしびれた状態が毛布にくるまっても消えず、段ボールの山が片付いていない手狭スペースで今季初のコタツ点灯を断行。

 それで人心地ついたせいか12時頃沈没、空耳アワーとヨシヒコを逃す羽目に(涙)、キョンシーガールの頃には意識回復すれど「空耳全部録ってDVDに残す」プロジェクトの頓挫がショックでまたふて寝、朝起きたら思いっきり風邪をひいてました。

 そのせいで微熱があり頭痛がするため、今季初めて防寒着にダウンを着用、早起きしてまずは教え子の団体戦の応援へ、会場の上武大は驚異的に遠く、熊谷より籠原より向こうの本庄って駅から更にローカルバス(涙)。

 バスでしばらく意識を失っている間に目的の停留所「上武大入口」を見落としたのにも気付かず、東京福祉大を過ぎ(大学だけど違う、ってかここ東京じゃないし!)、「いつ着くの?」と思っていると終点の伊勢崎!ここ何県? 群馬、栃木?

 同じ路線を逆向きに戻り、予定より1時間半遅れで「上武大入口」下車、ところが周囲に大学は影も形も無し(涙)、公民館っぽいところで道を教わり、かなり歩いてやっとコート到着、午後はコンサートがあるため30分程しか応援出来ず、てくてくバス停に戻ると乗る予定だったバスが目の前を発車!

 田舎路線ゆえ次のバスは30分後、これじゃコンサートに間に合いません、かといってタクシーが通る訳もなく、2-3kmならいける、と歩くことに、500m程して交番発見、駅までの距離を訊くと「4-5km」との答え、諦めてタクシーを呼んでもらってぎりぎりコンサートには間に合いました。

 この日は朝3度弱、そこそこ晴れたけれど風のあった日中は11度台とやや寒め、頭痛と熱でぼーっとしながら、群馬を彷徨うのはシンドかったです。

 長旅を終えて聴いたのは音楽大学オーケストラフェスティバルの初日、複数の音大のメインプロを一挙に聴けるお買い得企画、しかも今日は3大学!3時間超覚悟です。

11月24日(土) 芸術劇場
 北原幸男指揮武蔵野音大管弦楽団 ショスタコーヴィチ Sym5番
各ステージ冒頭には音大学生の手になるファンファーレが奏されます。まずは昭和音大によるファンファーレ、Tp,Tb各4本によるオーソドックスなものでした。続いて入場した武蔵野音大管はチューバが女性、と言うかTpとTbを含めても男は1stTb1人だけ、指揮はショスタコ5番を得意とする北原幸男、粘ったりタメたりせず、メリハリくっきりのシンフォニックな音作り、ブラスがまずまず鳴った第1楽章頂点では(4+1アシだったせいか)Hrトップはソロに備えてしっかり休憩、第2楽章冒頭の低弦はごりごりと迫力あり、棒を置いた第3楽章もすっきり系、TpとTbの吹きっぷりが豪快だった終楽章冒頭、かなり遅めに始まってすぐ加速するパターン、やや遅めだったコーダは、Tpも頑張ってまずまずの大団円でした。

 続いては昭和音大、それは次の記事で。

2012年11月22日木曜日

シリーズ第5作は中短編集、密室講義+アラカルト - 三津田信三「密室の如き籠るもの」

 ビックリのニュース:米大学バスケで1人で138得点!
内訳は通常のフィールドゴール104点、3ポイント27点、フリースロー7点とのこと。フリースローの少なさがいかにも、って感じ。

 この記事を読み「100点と言えばウィルト・チェンバレンでしょ!」と思ったのはいいんですが、100点きっかりだったか100点超えだったかはうろ覚え、確認のためネットで調べたところ、それ以外にも彼の凄いエピソードがザクザク、昼休み壁打ちするのも忘れて読み耽る羽目に、例えば"1試合55リバウンド"ってのも凄いです。因みに彼のNBA1試合最高得点記録は100点きっかりでした。

 暦は小雪、朝は4度台とそこそこ寒い、と思ったのに平年値は3度らしくこれでも高めの値、薄曇の日中は13度台とこっちは平年より低め、さっき半月が綺麗だったので今夜はもっと冷え込みそう。

 本日は先日読了した本から、刀城言耶シリーズ再着手企画の最後にして第4弾は、シリーズ第5作にして第1短編集、とされてますが、短編3つと中編1つからなり、後者は文庫にして265頁、第5長編と言ってもいい分量、しかもこれまでのスタイルを踏襲し「○○講義」付きです。

密室の如き籠るもの 三津田信三
 3つの短編では凶器の消失、家の消失、鉄壁のアリバイが、中編の表題作ではタイトル通り密室がフィーチャー、ガチガチの「密室講義」もあり、前作「山魔」でもそうでしたが、クイーンやクリスティーへのオマージュと思える内容も。伏線の回収が綺麗で起承転結まとまっている「迷家の如き動くもの」が最も印象的、あと「隙魔の如き覗くもの」の遊び心溢れる本格テイストも、表題作に関しては以下ネタバレの項参照。
<< 以下ネタバレに付き未読の方は飛ばして下さい!! >>
 表題作は密室が強固なためか珍しく真相が自分の予想と同じでしたが、その前のダミー解決の方が優れていると思います。

2012年11月21日水曜日

デ・ワールト&N響の"馬なり"家庭Sym

 朝は連日の0度台、日中は14度弱と平年やや低め、外は冬晴れ、昨日長袖を着た勢いそのままに、今日は長袖&長ズボンと一気に衣替えしてみました。

 自宅でコタツを点灯出来ず部屋で凍えているせいで軟弱にも衣替えしてしまいましたが、構内の紫ムクゲは力強く、大半の葉っぱがもう散ってるのにまだ二輪花を付けてます、一方サザンカは例年より出足が遅いみたいで、まだチラホラ程度。

 お昼休み、シュトゥットガルト放響の発売が先週末とっくに始まっていたことに気付いて動揺、なのにまだ最安席が残っていて嬉しい驚き、早速幻想の日をGET、聞いたことのない指揮者(ドゥネーヴ)なのが幸いしたか。

 夜は4連戦の最終日にして家庭交響曲ウィークの最終日、デ・ワールト&N響です。

11月21日(水) サントリーホール
 エド・デ・ワールト指揮N響 メンデルスゾーン フィンガルの洞窟、ブルッフ VnC1番、R.シュトラウス 家庭Sym
 冒頭はメンデルスゾーン、ロイヤルフィルから来たゲストコンマスに率いられた通常配置の弦セクション、昨日のサンフランシスコ響と比べると速いパッセージでのシャープさは落ちる反面、全体に厚みがあります。続いてはブルッフ、この曲でアルプスSymや薔薇の騎士などR.シュトラウスの予告をするプログラミングか(な訳無いか)、ソリストはデカい!のが第1印象のジャニーヌ・ヤンセン、素直で伸びる音色と弾いてない時の立ち姿がサマになっているのが印象的、アンコールは無し。
 後半はお目当てドメスチカ、Sax群はやはり割愛(残念)、デ・ワールトは標準的テンポ、時に歌わせつつも基本はいじらず端整に進行、ただ"大人の時間"では先日の飯森&東響に比べると濃厚な表現、クライマックスに向かってどんどん開放的になり、長大なコーダに入る前の頂点後半からテンポも加速、最後は速めのテンポでやや煽り気味に一気に走り抜けました。オケは低弦が別格の厚み、木管群は先日の東響の方が繊細で情感豊かだった気はしますが、解釈の違いもあってオケの鳴りはN響が上、ドイツ風末広がりの吹き方のTpトップや8本のHrを筆頭にブラスの鳴りもよく、ティンパニのキップのよい打ち込みもあり、なかなか豪壮なフィナーレでした。

 国内オケの同曲では最も壮麗な響きだった気がします、とは言え、N響ならこの位はやるでしょう、というレベルとも言え、デ・ワールトは6月のロイヤルフランダースフィルとのマーラー(5番1番)と併せ、"馬なり"の指揮者だなあ、という印象です。

2012年11月20日火曜日

MTT&サンフランシスコ響のラフマニノフ2番と鮮烈アンコール

 昨夜家に帰ると室温が今季初めて15度を下回り一気に14度(涙)、15度がコタツ点灯の基準ラインなので、コタツを出したいところですが、畳の間が段ボールで一杯のため、それもままならず、毛布にくるまって過ごしました。

 よって朝は冷え込んで0度台、雲一つ無い晴天はもはや秋晴れと言うより冬晴れ、コタツを出せなかった代わりに長袖を着てみました、がやっぱり何となく暑苦しく感じます。

 それもその筈、予報に反し日中はどんどん上昇し最高18度弱とかなり高め、気温が15度あるとポカポカ感を覚える冬モードになりつtあります。

 夜は仕事を早上がりしていそいそと東京へ、MTT&サンフランシスコ響の第2夜、ラフマニノフの2番です。

11月20日(火) 東京文化会館
 マイケル・ティルソン・トーマス&サンフランシスコ響 ジョン・アダムズ ショート・ライド・イン・ア・ファスト・マシーン、プロコフィエフ PC2番、ラフマニノフ Sym2番
 まず驚いたのは弦の配置、昨日と違って音域順に並んでます!(これは後半も同じ) 1曲目は現代曲、大編成オケでTpなんか5本!ミニマルミュージック流ファンファーレといった趣の小曲で、ほぼ全編でブラスが輝かしく鳴り響く中、後半Tpのハイトーンの連続がシンドそう。続くプロコフィエフではコンマスがコンミスに交替、協奏曲が苦手な自分には第1楽章の長くて激しいカデンツァなどシンドかったですが、曲想に変化が多くブラスの見せ場もふんだんにあって、そこそこ楽しめました。今日は赤いドレスだったソリストのユジャ・ワンは、アンコールにやや指くるくる系のロマンチックな曲を(←終演後調べてくるの忘れました)。
 後半ラフマニノフではコンマスが復帰(でもさっきのコンミスは見当たらず)、MTTは遅めのテンポでタメを作りつつ各動機を丁寧に歌う濃いめの表現ながら、旋律の背後に埋もれていたパッセージが浮かび上がる解像度もあり、更にそのベースでは付点等のリズムを常に明確に響かせていたのが個性的、第1楽章提示部のリピート無しは嬉しかったんですが、コーダ付近では思いっきりカットしてました。木管群のひなびた音色もこの曲ではプラスに作用した印象で、Fgなど出色、草笛っぽいObやのっぺりしたHrも昨夜と同じ、中盤分厚く盛り上がった第3楽章は美しく、昨日と比べてパーカッションはかなり大人しめ、ブラスはやや抑えめでしたが、終楽章の盛り上がりもなかなか、もともとベタなこの曲をベタにやったプロオケの演奏としては、過去最高の印象でした。
 アンコール無しだった昨日と違い、今夜はすぐ団員は次の楽譜を用意し、4人目のTp奏者が楽しそうに入場、始まったのは「アルルの女」ファランドール(休憩時にピッコロが散々練習していたとのこと)、弦は鮮やかに鳴り、ブラスが奔放に吹く爽快な演奏、しかも最後にアッチェレせずインテンポで終わったのがある意味お茶目。これで終わりかと思いきや、ピアノ奏者が入場し次は何と予想外のコープランド「ロデオ」終曲"ホーダウン"、このコンビの十八番なんでしょうか、アメリカンブラスがスカッと鳴り、弦管ハジけてオケの音像が一気にスケールアップ!一般聴衆には馴染みのない曲ゆえ途中のパウゼで拍手が起きるのもご愛嬌、ブラス経験者にはお馴染みのこの曲、アメリカ1流オケが本気で演奏するとこんなに凄いんだ!と唖然、本日の白眉でした。

 同様のフレーズを延々と繰り返す傾向のあるラフ2をじっくり演奏するのを聴いていて、冒頭にミニマルミュージックを持ってきたプログラミングの意味が判った気がしました、って偶然か。

 アンコールを含めたトータルでは昨夜と遜色無い満足度、このコンビで「エル・サロン・メヒコ」を是非聴いてみたいです。

 明日は4連投の最終日、N響の家庭Symです!

2012年11月19日月曜日

MTT&サンフランシスコ響の重厚長大・針小棒大マーラー5番

 試合にスコ負けした罰として、帰りは路線バスに乗らず最寄駅まで2-3km徒歩で、と歩き始めて20分、急に雨が強くなり、傘を持たず出たので屋根のあるバス停で雨宿り、すぐバスが来たのでつい節を折って乗り込んでしまいました。

 地元茨城の職場には12時前に復帰、雨降った様子無く、どうやら草加付近の雨は局所的なものだった模様、午後になっても寒いまま、終日10度以下でした。

 夜は4日連続コンサートの2日目にしてMTT&サンフランシスコ響の初日、MTTのマーラーは3年前PMFオケで5番を聴いてますが、最近少ない巨匠風で濃厚なマーラーだったので今夜も楽しみ、そしてサンフランシスコ響を聴くのは初めて。

11月19日(月) サントリーホール
 マイケル・ティルソン・トーマス&サンフランシスコ響 ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲、マーラー Sym5番
 前半は誰かのコンチェルトから変更になってのラフマニノフで個人的にはラッキー、速い曲想、特に冒頭からしばらくの速さにビックリ!主題を転回して作った哀切なメロディー部(「ある日どこかで」やCMで有名)はオケは割とあっさりだった反面、紫のロングドレスのソリスト、ユジャ・ワンはかなりロマンチックに、鳴り止まぬ拍手に応え、アンコールはMTTとの連弾で楽しいプーランクの曲を。
 そして後半のマーラー、オケは対向配置、木管の後ろに7本のHrが横1列に並び、他のブラスはパーカッションの並びで右奥、Tpソロは朗々として見事ながら(本人のスタイルかMTTの指示なのか)癖のある吹きっぷり、MTTは第1楽章からテンポは揺らすわ殆どのフレーズでタメたり粘ったりするわとやりたい放題、オケもいい鳴りっぷりで第1楽章で既にお腹一杯です。極端な表現が随所にありましたが、特に第4楽章終結、弦が下降しながらffからppへと消えてゆく箇所を「9番の終楽章かよ!」と突っ込みたくなる位ゆっくり1音1音刻み込んでやっていたのが印象的。
 明るい音色の弦はゆったり響かす際はボリューム不足の感あれど、激しく刻む際にはシャープな存在感あり、今一つの感じだった木管の中、草笛の如きObトップの音色が個性的、また要所でのティンパニの打ち込みも強烈、そしてブラスがやはり出色で、Hrソロはのっぺりした吹き方で色気ゼロでしたがパート全体ではなかなかの鳴り、Tpは3rdが驚く程精彩を欠いてましたが、1stは勿論2ndもいい鳴り、そして何よりバストロ筆頭にTbが充実の鳴り、第1楽章終盤のコラールはまだ余力を残した感じでしたが、終楽章では見事なサウンドが鳴り響き、ほぼ満足の大団円でした。

 久々に「重厚長大」マーラーと感じたPMFの時と比べ、旋律の最初でタメる基本パターンは共通ながら、手兵ゆえかあざとさとテンポの揺らし度が上昇し、重厚長大に「針小棒大」まで加わった感あり、楽しかったです。

 明日は同じコンビでラフ2、ラフマニノフでここまでやるとは思えませんが、楽しみです。

埼玉OP秋季クラシック2012

 朝から曇り、そのせいで冷え込ほどほどで最低4度台、早起きして埼玉OPに参戦、コートに着くと小雨、「えっ!聞いてないし…」。

 ただ本降りになること無く、合間を縫って試合開始、予選1回戦で左利きの若者に0-8とスコシバ。

 試合終了と同時にまた小雨、全く気温上がらず寒い中、試合が残ってる人は待たされたりして可哀想、と負け惜しみを言いつつ帰途へ。

 本日貰ったアドバイス:
もっとネットに出ること。

2012年11月18日日曜日

飯森&東響の家庭Sym

 昨夜のしし座流星群、予報通り夜半に雲は晴れ、冷え込みも無く観測にはいいコンディションだったんですが、自室はここ数日は16-7度と寒々として、布団から外に出る気力が湧かず、スルーしてしまいました。

 よって朝の最低は8度弱と高め、よく晴れた日中は16度台と平年やや高め、早起きして東京に出て午前中は教え子の応援、最寄り駅からコートへの道すがら、サルビア・ガラニチカがまだ深紫の花を風になびかせていました。

 風が強く、日陰で観戦していると裸足に半ズボンでは少し寒く、何よりほぼ全敗した(涙)せいですっかり凍えてしまいました。

 昼過ぎには応援を抜けてサントリーへ、お目当ては大好物の家庭交響曲、ほぼ同じ時間帯のゲルギエフ&マリンスキー管「幻想」も購入してあったのですが、家庭Symはローマの松と並び、大好きなマーラーより優先度の高い数少ない曲ゆえ、泣く泣くゲルギーは諦めてこっちに参戦。

 しかも同曲は演奏機会が少ないためチャンスは逃せません。とは言え、2009年は当たり年で5度聴ける僥倖に恵まれ、今年も3度聴ける幸せ、先日のワセオケに続いて今季2度目です。

11月18日(日) サントリーホール
 飯森範親指揮東響 マーラー 若き日の歌より、R.シュトラウス 家庭Sym
前半はマーラー若書きの歌曲を1986年マーラーフェストに際し委嘱されてベリオが編曲したものから5曲、オケはほぼ2管編成でバリトンソロはロディオン・ポゴソフ、第1曲がまんまSym3番第3楽章でビックリ!それが20分程度で終わった後、オケが大編成となり、飯森が30分に亘り家庭Symの解説を実演付きで、ただ説明し辛い夜7時ー朝7時の"大人の時間"の箇所だけすっ飛ばしてました(笑)。
 そして後半お目当てのR.シュトラウス、父・母の動機を対比すべく弦の配置をいつもと変えVnとチェロを対向させたとのこと、テンポは標準的で表情もすっきり系、弦はほどほどに伸び、木管もまずまず、Tpは1stがやや大人しめだった代わり3rdがやや奔放でいい感じ、9本揃えたHrがなかなかの鳴りでしたが、ブラス全体ではバランス重視で全開にはならないのが少し物足りませんでしたが、トータルではまとまった演奏の感、ラストの音響もまずまずでした。

 秋山&読響プレヴィン&N響ボージチ&都響ワセオケなど、近年よく割愛される4本のSaxがちゃんといて嬉しかったです。

 明日はMTT&サンフランシスコ響の第1弾、マーラー5番です!

2012年11月16日金曜日

三ツ橋&東フィルの火の鳥、展覧会

 朝は0.6度と今季最低値、そのせいか今日から職場に暖房が!

 空調と云えば先日書き忘れましたが、ゲルギエフを聴いた日、何と銀座線に冷房!が入っていて発狂しそうになりました、車内放送で「ただいま冷房を…」と堂々と言っていたので勘違いじゃありません、11月中旬なのに、気温はほぼ平年だたのに、省エネの時代なのに。

 秋晴れ(冬晴れ?)の午後は最高16度台とほぼ平年、昨日断念して仕切り直した昼休み同僚との週一テニスの帰り道、道路でとぐろを巻いていたかなり大きな蛇を踏みそうになって同僚が動揺してました。

 胴体は太い部分で5cm近く、2-3重に巻いていたとぐろの直径が3-40cmだったので長さは優に1m超、「こんなデカけりゃアオダイショウだから踏んでもOKっすよ」と言ったら、「頭が三角だからマムシかも」と言われ、見てみりゃ確かに三角頭、でも後でネットで調べてみると、青大将でも状態によりそこそこ三角に見えるそうなので、色合いやデカさからすればやはりアオダイショウでした。

 夜は東京に出てコンサート、初めて聴く指揮者、しかも女性ですが、激しい表現が評判で少し気になっており、格安入手しての参戦です。

11月16日(金) サントリーホール
 三ツ橋敬子指揮東フィル ストラヴィンスキー 火の鳥、ブロッホ ヘブライ狂詩曲"シェロモ"、ムソルグスキー 展覧会の絵 
 最初の火の鳥は1919年版組曲、棒以上に顔芸が印象的だった三ツ橋女史、王女たちのロンドでの抑えた叙情性が印象的、Hrソロがノンヴィブラート系で色気極小ながら美しく、ラストのブラスもまずまずの迫力、次のブロッホはチェロ協奏曲的な曲想でオケが2管から3管に、ソリストはデカくて野人の如き風貌のガブリエル・リプキン、クライマックスでのブラスの迫力はそこそこ、後半の展覧会はラヴェル編、冒頭Tpソロはストレートな吹きっぷり、古城のAltSaxソロ、ビドロのユーホはともに専業奏者、シュミイレはピッコロTp使用、オケは弦の鳴りが悪い感じ、全般に標準的で個性的な表現は少なかった中、ゆったり悠々と進んでいて、終結部に入り突然テンポアップしたのが印象的だったキエフの大門、ラストの迫力はまあまあでした。

2012年11月15日木曜日

第4作はマリー・セレステ号と見立て殺人、プチ講義もアリ - 三津田信三「山魔の如き嗤うもの」

 朝は1.6度と今季1番の冷え込み、TVでは「東京が今季初めて10度を割った」と言っており、10度近い差に驚き、冬の最低気温はここ南茨城と都心との差は5度位って認識だったのに…。

 とは言え11月中旬ともなれば、この辺りではマイナス気温になってもおかしくない時期、今夜は夜8時の時点で5度を下回っており、明朝は初マイナスかも。

 午後は15度台と平年やや低め程度、昼休み同僚との週一テニスはコート満杯のため断念して壁打ちへ、壁とアスファルトの隙間から生えたセイタカアワダチソウは先日ボールをぶつけたためか半分枯れて倒れてましたが、その隣では野菊が生えて赤紫の花を咲かせています。

 本日は昨日読了の本から、刀城言耶シリーズ再着手企画の第3弾は長編第4作です。

山魔の如き嗤うもの 三津田信三
 "山魔"の出るとされる禁忌の山で遭遇したマリー・セレステ号ばりの一家消失を語った手記の謎を解くべく山村を訪れた刀城言耶の前に起きる数え唄になぞらえた連続殺人、読み易さは更に向上、今回「見立て殺人講義」の趣向はプチ程度ながら、お約束の終盤のツイストはかなりのもので、しかもこれまで希薄だったロジック(クイーンを意識したもの)もあり、衝撃度では「厭魅」、トリックの華麗さとオリジナリティでは「首無」に一歩譲るものの、トータルでは遜色無い印象、見事に作者の用意したニシンに食らい付いてしまいました。

 前作といい本作といい、改めて序文から読み直すと、ニヤリとさせられる内容がぬけぬけと書かれていて、ディクスン・カーを彷彿とさせます。

 明日は未知の女性指揮者、三ツ橋&東フィルによる火の鳥&展覧会です!

2012年11月14日水曜日

爪楊枝初認識、3度目のゲルギエフ&マリンスキーのショスタコーヴィチ5番

 昨夜の「花のズボラ飯」、ライバル番組(?)テレ東「孤独のグルメ」のパロディに爆笑でした。

 爽やかな秋晴れ、朝3度台とやや冷え込み、日中16度台は平年値、そう言えば今年はツツジの狂い咲きがめっきり減っっています。

 午後は横浜で講義、その帰り道、横浜駅近くで家系ラーメンを経由してからサントリーへ、日頃と違いスーツ姿のせいか、ホールで知人約1名にスルーされました(笑)。

 聴いたのはゲルギエフ&マリンスキー管、このコンビの関東公演は3回(苦手なNHKホールは除外)で、うちサントリーの2公演は歌劇(守備範囲外)か、過去に2度(2011/2/162006/1/27)も聴いてるショスタコ5番、よって今回は奮発して価格が高い(しかも遠い)所沢公演の「幻想」を購入。

 しかし! 飯森&東響の家庭Sym(好きな曲第1位か2位!)とほぼ同じ時間帯(1時間ずれ)であることが判明、サントリーと所沢との移動時間を考えるとハシゴは無理、ってことでweb掲示板で手放すことに。

 ただこのコンビが来日して1度も聴かないのも、と思い「幻想」を売った代金元手に本公演を入手しての参戦となった次第。

11月14日(水) サントリーホール
 ゲルギエフ指揮マリンスキー歌劇場管 リャードフ キキモラ、ラフマニノフ PC3番、ショスタコーヴィチ Sym5番
 オケはいつも通り対向配置、最初のリャードフは初実演、ゲルギーは指揮棒使わず例によってヒラヒラ、ただ生で聴いてもやや盛り上がりに欠ける曲でした。続くラフマニノフも棒を持たず、と思ったらあれ? 爪楊枝みたいな極小棒を右手にしてます、もしかして(近眼なので)これまで気付いてなかっただけか…。この曲は自分には長過ぎて途中意識を失ってしまいましたが、ラストの激しい畳みかけはさすが、豪快だったソリスト、デニス・マツーエフはアンコールを2曲も、しみじみ系の曲(チャイコフスキー「四季」からとのこと)を思いっきりベタに、続いて「ペール・ギュント」"山の魔王の宮殿にて"を壮烈なアッチェレで。
 後半ショスタコでも爪楊枝使用、やや速めのテンポは以前と同じながら表情付けは前より細かくなり個性的な箇所も増えた印象、第1楽章(最近はカルメン主題と呼ばれてる)第2主題の速さと、第2楽章コーダ入リのティンパニがやたらデカく、その後Obソロで極端にスローダウンしたのが印象的、また第3楽章では表情を細かく付け、やや非力な印象のある弦からなかなかの響きを、終楽章は前半・コーダ共にかなり速め、若いメンバーが結構いるオケは揃いが悪く大きく乱れる部分もありましたが、全体では昨年より伸びのある響きだった印象、Tpはアシ付き4本ながらHrはアシ無し4本、そのせいか第1楽章後半ソロは直前休憩無し、ブラスは両端楽章とも8分程度の吹きながら、ラストのTpハイトーンもキマってまずまずの大団円。
 拍手喝采の中バスクラやアングレが加わってアンコールがあるのは明らか、で始まったアンコールが大好物の「くるみ割り人形」よりパ・ド・ドゥ(のアダージョ?)、冒頭チェロから極端な表情付けのオンパレードでもう最高、10年程前に所沢で同コンビのアンコールで聴いた時より凄く、豪快さではテミルカノフ&旧レニングラードフィルに譲るかもしれませんが、同曲では過去最高クラスの興奮度、本日の個人的白眉でした。

 去年そうだった様にゲルギエフは全楽章続けて演奏したかったのか、楽章間は1度も手を降ろさなかったんですが、音が消えるや否や咳を始める人達に阻まれ(笑)、続けて演奏したのは3-4楽章だけでした。

 これでこのコンビのショスタコ5番をミューザみなとみらい、サントリーと異なるホールで3度聴いたことになりますが、だんだんスマートさが減ってアクの強さが増えてきており、(個人的には)より面白くなってきています。

 ゲルギーの過去公演の日記を読み返してみると、棒を手にしない割合がどんどん増えている様に書いてますが、実は自分が「使ってない」と書いていた時の大半は爪楊枝だったのかも。

2012年11月13日火曜日

評判通りの傑作、第3作は首無し殺人講義 - 三津田信三「首無の如き祟るもの」

 うーん、昨日は仕事が一区切り付いて夜8時には帰宅、第1話未見でどんどん溜まっているドラマの消化に着手すれど、「ゴーイング マイ ホーム」第1話のゆるゆる映画的ペースで早や力尽き、11時頃に一旦寝て英気を養うことに。

 いつもは2時頃に寝るので12時前に寝れば5-6時には目が覚めるだろう、と目覚ましをかけず就寝したところ、(たぶん外が暗い時間帯に1度起きた気はするのですが寝直したらしく)強い朝日で目が覚めたのは8時過ぎ(涙)、思いっきり寝過ごして痛恨、ま、久々に夢はたっぷり見ました、もう覚えてないけど。

 昨日予報では20度以上をもたらす筈だった暖気が時間差で残ったか、星空の割には朝の最低8度台と高め、雲が出てきた日中は18度弱と昨日と同じ位、構内では萩の花も見なくなりましたが、並んで立つ2種の紫ムクゲのうち後に咲いた方は葉っぱが黄色く紅葉しているのにかろうじて一輪だけ残っていて、昨年と同様丸4ヶ月間咲き続けたことになります。

 本日は週末読了した本から、刀城言耶シリーズ再着手企画の第2弾、シリーズ中最高傑作との評判高い第3作です。

首無の如き祟るもの 三津田信三
 首の無い亡霊の伝承のある山村に10年の間を置いて2度起こる密室状況での首無し殺人、それが作中作の体裁(メタ的仕掛けの匂いプンプン)で2人の異なった視点からの3人称記述で語られます。読み易さは過去2作より向上、"首無し殺人講義"の趣向もあり、前作「凶鳥」や次作「山魔」の仄めかしもあってニヤリ、最後のヒネリの破壊力は第1作「厭魅」には及びませんが、美しいメイントリックはうっとりするほど鮮やか、本格テイストに限れば確かに歴史に残る傑作と感じました。
<< 以下ネタバレに付き未読の方は飛ばして下さい!! >>

 トリックを成立させるために"館"を建てるが如く、トリックに寄与するホラー的伝承を創り出す点が本格サイドからは素晴らしく、ホラーサイドからは不満が出そう。あと、最後の2転3転の仕掛けは当初個人的には無くもがな、と感じましたが、ネットで他の方の感想を読み「首無し」→「犯人/被害者の入れ替わり」という発想から「メタ的趣向」→「記述者/犯人/探偵その他諸々入れ替わり」と"入れ替わりの万華鏡"的趣向が意図だったと知り、更に評価が高まりました。

 余談ですが、少なくともここまでの3作は初出時(ハードカバー)は見取り図が付いていないとのこと、この内容なら読む側からすれば致命的な気はするのですが、「文庫を買わせるための出版社の策略」という意見を読んでつい頷いてしまいました(笑)。

 明日はゲルギー&マリンスキーのショスタコ5番です!

2012年11月6日火曜日

ブロムシュテット&バンベルク響のブルックナー4番

 今サントリー前アークビル1階ロビー、スタバが無線LANサービス始めたようで喜ばしい限り、これからブロムシュテット&バンベルク響のブルックナー4番、記事のみにて。

<続き>
 朝から雨、そのせいで冷え込み無く最低12度台と約10日振りに10度以上、朝出る時に10度以上あると暖かく感じる身体になりつつあります。

 実家から届いた柿は2日目(収穫の翌々日)にしてかなり柔らかくなり、自分の嗜好から離れつつあります。

 日中は上がらず最高16度、夕方には曇りに転じ、傘が要らない状態でコンサートへ、ブロムシュテットお得意のブルックナー、そしてバンベルク響を聴くのは6年前にノットでマーラー5番を聴いて以来2度目です。

11月6日(火) サントリーホール
 ヘルベルト・ブロムシュテット指揮バンベルク交響楽団 モーツァルト PC17番、ブルックナー Sym4番
 まずブロムシュテット、85歳の割には足取りが軽やか!オケは対向配置でチェロと弦バスは左側、前半のモーツァルト、第2楽章での繊細な表現が印象的だったソリストのピョートル・アンデルシェフスキはアンコールにバッハを。後半ブルックナーではいきなりHrソロが武骨な感じの入り、全体でも武骨な感じの音作りでテンポもやや速めか、弦はボリュームほどほどながら第2楽章などビロードの肌触りの音色、あとボウイングが時折個性的で終楽章中盤の聴かせ所(金管コラールの後に同じフレーズを繰り返す箇所)では全部ダウンでゴツゴツやってたのが印象的。木管はそれなりに個性を主張しつつも音色は常に周りの弦管と調和し、ブラスは弦を掻き消す一歩手前の吹きっぷりながらTpを筆頭にビャーッという典型的なドイツ風の響きで音量以上の力感あり、ティンパニの小気味のよい叩きっぷりと併せ、どの楽章でも充実したサウンド、特に第2楽章での壮麗に鳴らす表現が印象に残りました。同曲では過去No.1の演奏だった気がします、ってたった4-5回しか聴いてないけど(笑)。

 会場で会った知人は「よかったけどエッシェンバッハ&VPOには及ばない」、連れのブルックナー通は「ハース版も部分的に取り入れていた」との弁。

 ノットの振った時と比べてオケのサウンドがより均質で密度の高いものに感じました。ゲヴァントハウス管との7番の時にも感じましたが、ブロムシュテットはオケ本来の響きを引き出すタイプの指揮者という気がします。

 帰りの銀座線で空調の冷風を感じてまず動揺、続いて八重洲からの高速バス車中で冷房の風が降ってきて発狂しそうになりました。

2012年11月5日月曜日

シリーズ第2作は人間消失講義、やや怪作 - 三津田信三「凶鳥の如き忌むもの」

 昨夜の発狂寸前ボケ老人:
ダラダラと休日出勤していた夜8時頃、何か忘れてるなあ、とこの日唯一にして最大のイベントだった尾高&東フィル「ローマの松」(実演は2012/4/26)のライブFM中継を完全失念していたことに気付く(汗)、ダッシュで帰れども既にジャニコロ(涙)。

 今朝も冷え込んで最低4度、曇りだった日中も最高16度強と低め、1週間振りに昼休みに壁打ちをして、外の寒さ(暖かさ)の先週との落差に驚きました。 

 実家から柿の便り第2弾が到着、職場の皆で山分け、赤くて柔らかいのは人に押し付け、自分は固いのから順に早速3個食べました。

 昨日は「MONSTERS」1-3話をまとめて視聴、ミステリーマインド溢れる内容に感心していたら、脚本が何と蒔田光治!成ーる程、納得です。

 って訳で今日は先日読んだミステリーから、ホラーと本格の融合、と言うより寧ろ、ガチガチの本格として近年最大の収穫とも言える三津田信三の刀城言耶シリーズ、第1作「厭魅の如き憑くもの」が待望の文庫化なったのが2009年春、講談社文庫ゆえ、京極堂シリーズと同様、年1冊ずつ順に刊行されるもの、と思いきや、翌年文庫化されたのは第2作じゃなくて第3作「首無」、まあ、「首無」は最高傑作との呼び声高く、戦略的前倒しか、と待った翌年の刊行は何と第4作「山魔」、そしてその翌年、つまり今年の春は第5作「密室」、と第2作は置いてけぼり、我慢モードからすっかり諦めモードへと転じてました。

 ところが春刊行パターンから外れて今秋、遂に第2作「凶鳥」が文庫化、寝かせておいた3-5作と併せ、この秋まとめて読むことに決定、まずはその第2作です。

凶鳥の如き忌むもの 三津田信三
 禿鷲の跋扈する孤島を舞台に前回7人もの人間消失を起こした秘儀が18年振りに執り行われ、刀城言耶が立ち会う中、密室状況からの人間消失が勃発し、その後も続く人間消失。ホラー度は低めで"密室講義"ならぬ"人間消失講義"がある稚気が微笑ましい反面、内容的には短編ネタでしょ、と突っ込みながら読んでいたら、伏線を全て回収するメインのバカトリックに感服、第2の消失などサブのトリックに感心しなかった点を含め、メインのバカ度で全て許せる気になりました。ただ前作に続き本作も初出時は見取り図が無かったとのこと(文庫版にはあります!)、それだと前作以上に舞台がイメージし辛く、思考停止になってしまう可能性大、見取り図無くても解けますが。

 シリーズ中、完成度は低いかもしれませんが、やや怪作系ゆえ印象度は高そう。

 明日はブロムシュテット&バンベルクのブルックナーです!

2012年11月3日土曜日

インバル&都響の4番

 いやあ、セリーグ代表が勝って良かったです、何てったって、阪神より強いんですから。

 朝の冷え込みは4.2度と今季初めての5度割れ、早朝寒い中東京に出て午前練習、午後コンサート、と典型的休日、練習を始めた頃は曇っていて寒々としてましたが、上がった昼過ぎにはすっかり秋晴れに、気温もほぼ平年の17度台まで上がってました。

 午後は先週に続き、奇特な知人から頂いたチケットでインバル&都響のマーラーへ、しかも余程のことがない限り聴かない4番、これが人生で5-6回目です。

 ホールでは昨日は下がっていた白い反響板が天井に巻き上がられています、やはり可動式のよう、しかしオルガンを使わないのだから、下げた方が3階の音響はいいのに、とちょっと残念。

11月3日(土) 芸術劇場
 エリアフ・インバル指揮都響 マーラー 子供の不思議な角笛、Sym4番
オケは先日と同じく音域順に並ぶ弦のトップは矢部&四方、ただしコンマスは矢部さんに交替、前半は「子供の不思議な角笛」から6曲でソロは河野克典(済みません、半分意識を失ってました)。そして後半に4番、インバルは標準かやや速めのテンポ、独特なアクセントを付ける節回しはいつも通り、また極端な場合にはグリッサンド並になるポルタメントを全楽章各所でやってましたが、それを使う場所がどこでも、という訳ではなく独特だった気も、ただ確認したら気になった箇所は少なくとも楽譜の指示通り、単に楽譜に忠実なだけかも。また内声を強調していたのが印象的で、第3楽章後半、中音弦がよく歌った部分が個人的に白眉、またHrは全体的にはバラつきあって先日の3番より出来悪の印象でしたが、要所では豪快な鳴り、その第3楽章コーダのffでソリスト森麻季が胸元の開いたドレスで入場、双眼鏡で見ると記憶よりやや丸くなった感あり、ただ前半でもそうでしたが3階席ではソリストの声が今一つ届かない印象でした。

 第2楽章調弦を変えた矢部Vnソロの隣で、四方Vnソロが同じフレーズを弾く箇所が、こんな楽譜だったことを初めて知りました。

 昨日は空調の冷風にやられて風邪をひき、微熱があって頭もやや重いので、今日は上着(ウォームアップ)を脱がずに聴きました、正解。

2012年11月2日金曜日

竜頭蛇尾への挑戦 - 内藤&ニューシティ管のブルックナー7番

 連日の秋晴れ、朝は8度台とやや高く、日中は17度台とやや低め、気が付くと職場構内でも、赤と白、それぞれサザンカが咲いてます。

 一方先週まで頑張っていたサルスベリは終了、例年より長持ちする2種のムクゲ(又はフヨウ)ですら、先に咲いた方から花が消えていました。

 あとコート脇の空き地には何故かタンポポが! ツツジと同様狂い咲きか。

 夜は知人のご馳走でコンサート、聴いたのは内藤&ニューシティ管による一連の新校訂版によるブルックナー、このコンビで今年マーラーを聴いてますが、彼ら本来のフィールドは独特な原典版によるブルックナー、前回聴いたのは9番の終楽章付き!でした。

 今回は7番、「竜頭蛇尾への挑戦」と題したチラシには「ブルックナー当初の意図-それは決して竜頭蛇尾には陥っていない-を復元することであり、壮大なフィナーレ終結を持つバランスのとれた交響曲を目指して」いると記されており、尻すぼみ感のあるこの曲が壮麗に終わりそうな点に期待です。

 ホールに入ると白い反響板が天井からオルガン全面を覆う形で下がってます。再オープン以降何度か入った時には気付かなかったので可動式なんでしょうか。その反射板があったせいか、3階席の聞こえが少しよくなった気がしました(特に弦)。

11月2日(金) 芸術劇場
 内藤彰指揮ニューシティ管 吉松隆 Sax協奏曲"サイバーバード"、ブルックナー Sym7番 <川崎校訂版>
 前半は邦人作品、2管程度のオケの手前にAltSax、ピアノ、ドラムスが並び、ソリスト3人は皆20歳前後の芸大生、急緩急の3楽章構成の約30分、第1楽章はジャズ調、第2,3楽章はややポップス調でした。休憩時に指揮者が舞台に登場し曲と演奏に関し解説を、前回のマーラーと同様、作曲当時には無かったヴィブラート奏法を可能な範囲(笑)で排しているとのこと。
 その後半ブルックナーは独自校訂による版の世界初演、と言ってもブルックナー初級者の自分には猫に小判、Hrなどの出番が違うかも、といった程度の印象、オケではブラス陣の左端に5本のHrが、右端に専業のワーグナーチューバ4本が配されていたのが印象的、それらによる第3楽章終盤のコラールはなかなか壮麗でした。全体にテンポは速めで、表現は粘らず純朴系で、ノンヴィブラート系の弦の響きともマッチ。ただ期待の終楽章コーダ、それまでと違いぐっとテンポを落とし、従来譜には無い動機も加わったブラスの鳴りも一段アップした感はありましたが、小節が増えた訳ではなさそうで、劇的な違いは感じられず、"竜頭蛇尾の解消"とまではならなかった気がします。

 今日も芸劇の3階席に降り注ぐ空調の風が寒く、4-5列前の女性は途中でオーバーを羽織ってました。自分も脱いだ上着を羽織りたかったのですが、音を出さずにやる自信無く断念、確実に風邪をひいた気がします。

 明日はインバル&都響のマーラーです!

2012年11月1日木曜日

ああシルク違い - ルノア le noir

 日本シリーズのお陰で野球を毎晩観られる幸せを噛み締めています、一昔前なら当たり前のことでしたが…。しかし、さっきの明らかな誤審だった危険球退場は可哀想、早くビデオ判定導入を。

 11月最初の日は爽やかな晴れ、朝は6度台とやや低め、日中は20度を少し上回り高め、夜空では満月を少し過ぎたお月さんが木星とランデブーしています。

 午後は仕事を半ドンでやめて、生まれて初めてサーカスを観てきました。「ルノア(le noir)」という演目が(売れ残っているらしく)半額以下で手に入ったから。

 で特に興味の無かったジャンルに参戦したのは、「ダークサイド・オブ・シルク」という副題が付いていて、「大人向け」との宣伝文句、会場もそれらしくクラブだったので、唯一このジャンルで興味のあったシルク・ド・ソレイユの大人向けの演目と混同したから。

 例えばシルク・ド・ソレイユの"zumanity"は、ラスベガス限定の演目で、煽りビデオや海外掲示板サイトの情報を見る限り、おっぱいもヌードもあり、と真にオトナ向け、これだったら是非観たいところ(笑)。 

 しかーし!チケットを取ってから気付いたんですが、「シルク」とは単にフランス語の「サーカス」の意味、よって今日の演目はシルク・ド・ソレイユとは何の関係も無く、自分の様な無知なアホを引っ掛けるためのあざといネーミングでした(涙)。

 とは言え、一縷の望みを抱いて品プリへ、目的がエロだけに希望は最前列、だったんですがさすがに最前列は格安にはならず、許容範囲ギリギリの3列目です。

11月1日(木) 品川プリンスホテル クラブeX
 ルノア le noir
直径4mの円形舞台を同心円状に客席が囲み、最前列は舞台から1mの至近距離、まずは道化師が登場して客いじり、数回の登場で通算6人ほど舞台に立たされていました。その狭い舞台で吊り輪、ブランコ、力業など様々なアクロバットが休憩20分を挟んで前後半小1時間ずつ、演目によっては最前列は勿論、3列目まで演者が接近、これだけ間近で見られたのは楽しかったです。が、お色気的には下着レベルまでと期待を遥かに下回る出来。ただ、舞台と最前列の狭いスペースに演者以外のメンバーが露出度高いコスチュームでしなを作って座ったりしていたので、触れる距離の最前列のみお色気度及第点かも。1番ハラハラしたのはバランス系、あと男女のペアがローラースケートで種々のスピンをやる演目で、1度思いっきり失敗してコケたのが緊張感を増していました。

 微妙に残った欲求不満感、品達ラーメンに寄って解消してきました。

 明日はマニアなブルックナー演奏ばかりしているニューシティ管の7番です!